風邪で眠いのはなぜ?強い眠気の原因とメカニズムと適切な対処法

風邪

風邪をひいた際に「いつもより強く眠い」「日中でも眠気が取れない」といった経験をされた方は多いのではないでしょうか。

風邪による強い眠気は、免疫反応に伴う身体の変化や体力の消耗、薬剤の影響などによって生じる可能性があるとされています。

風邪で眠いと感じる症状は身体の自然な反応の一つと考えられていますが、眠気の程度や持続期間には個人差があります。

適切な休息と生活習慣の調整により症状の軽減が期待できる場合がありますが、異常に強い眠気が続く場合や他の気になる症状を伴う場合には、専門的な判断が重要とされています。

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風邪で眠いのはなぜ?強い眠気が生じる原因とメカニズム

風邪で強い眠気が生じる主な原因は、免疫反応による身体の変化と体力の消耗、薬剤による影響が考えられるとされています。

免疫反応による眠気のメカニズムについて、風邪ウイルスと闘うために活性化された免疫システムは、サイトカインと呼ばれる物質を放出します。これらのサイトカインの一部は脳に作用し、眠気や倦怠感を引き起こすことが知られています。特にインターロイキン-1やインターフェロンなどは、睡眠を促進する作用があるとされており、これは身体が回復に集中するための自然な反応と考えられています。

体力消耗と代謝の変化も重要な要因です。風邪による発熱や炎症反応により、普段より多くのエネルギーが消費され、身体の疲労が蓄積します。また、食欲不振により十分な栄養が摂取できない状態が続くと、血糖値の変動や栄養不足により眠気が強くなる可能性があります。脱水状態も血液循環に影響を与え、脳への酸素供給が低下することで眠気を感じやすくなるとされています。

薬剤による眠気の副作用では、風邪薬に含まれる抗ヒスタミン薬が中枢神経系に作用し、眠気を引き起こす場合があります。また、解熱鎮痛剤や咳止め薬なども、種類によっては眠気を副作用として持つものがあるとされています。鼻づまりによる睡眠の質の低下も、日中の眠気の原因となる可能性があります。

風邪による眠気の原因は複合的で個人差があるため、症状の現れ方も人によって異なります。

続いて、風邪による眠気の具体的な特徴について見ていきましょう。

風邪による眠気の特徴と他の症状との関連

風邪による眠気は、持続的で抗いがたい強さを持ち、通常の疲労による眠気とは異なる特徴があるとされています。

眠気の現れ方の特徴として、朝起きてもすっきりしない、日中に突然強い眠気に襲われる、短時間の仮眠では回復しないなどがあります。通常の生活リズムに関係なく眠気を感じることが多く、普段なら眠くならない時間帯でも強い眠気を感じる場合があるとされています。また、集中力の低下や思考力の鈍化を伴うことも特徴の一つです。

他の風邪症状との関連では、発熱の程度と眠気の強さが相関することが多いとされています。熱が高いほど眠気も強くなる傾向があり、解熱と共に眠気が軽減する場合があります。鼻づまりによる睡眠の質の低下は日中の眠気を悪化させ、咳による睡眠中断も眠気の原因となる可能性があります。頭痛や全身の倦怠感と眠気が同時に現れることも多く、これらの症状は相互に影響し合うとされています。

症状の経過については、風邪の初期から中期にかけて最も強く現れることが多く、回復期に入ると徐々に改善する傾向があります。ただし、体力の回復には時間がかかるため、他の風邪症状が改善した後も数日間は眠気が続く場合があるとされています。睡眠パターンの乱れも眠気の持続に関与する可能性があります。

風邪による眠気の特徴を理解することで適切な対応が可能になります。

次に、これらの症状に対する適切な対処法について説明いたします。

風邪で眠い時の対処法と日常生活での工夫

風邪で眠い時の対処法として、十分な睡眠と適切な生活リズムの維持、症状に応じた薬剤の調整が基本的なアプローチとして重要とされています。

睡眠環境の改善について、風邪による眠気は身体の回復に必要な自然な反応であるため、可能な限り十分な睡眠を取ることが推奨されます。室温を適切に保ち、湿度を調整することで鼻づまりを軽減し、睡眠の質を向上させることができます。枕の高さを調整して鼻腔の通りを良くしたり、横向きで寝ることで呼吸を楽にする工夫も有効とされています。

日中の眠気への対処では、無理に活動を続けるよりも、短時間の仮眠を取ることが回復を促進する場合があります。ただし、夜間の睡眠に影響しないよう、午後3時以前に20〜30分程度の仮眠に留めることが重要です。カフェインの摂取は一時的に眠気を軽減する効果がありますが、脱水や睡眠の質の低下を招く可能性があるため、適量を心がけることが大切です。

薬剤による眠気への対応では、市販の風邪薬を服用している場合には、眠気の副作用が少ない製品への変更を検討することも一つの方法です。ただし、薬剤の変更については適切な判断が必要なため、ご相談いただくことが推奨されます。運転や危険を伴う作業は避け、安全を最優先に考えることが重要です。

風邪による眠気への対処法は個人の状態や生活環境により異なるため、適切なアプローチについてはご相談ください。

続いて、風邪以外で強い眠気が続く場合の可能性について見ていきましょう。

風邪以外で強い眠気が続く場合の可能性

強い眠気は風邪以外の様々な原因でも生じる可能性があり、適切な判断のためには他の要因も考慮することが重要とされています。

睡眠障害による眠気では、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、過眠症などが原因となる場合があります。睡眠時無呼吸症候群では夜間の睡眠の質が低下し、日中に強い眠気を感じることが特徴です。いびきや睡眠中の呼吸停止を伴うことが多く、高血圧や心疾患のリスクとも関連するとされています。ナルコレプシーでは突然の眠気発作が特徴的で、感情の変化に伴う脱力発作を伴う場合もあります。

内分泌疾患や代謝異常による眠気として、甲状腺機能低下症、糖尿病、副腎機能不全などが考えられます。甲状腺機能低下症では眠気と共に体重増加、寒がり、便秘などの症状を伴うことが多いとされています。糖尿病では血糖値の変動により眠気が生じる場合があり、特に食後の眠気が特徴的です。

その他の原因として、うつ病などの精神疾患、慢性疲労症候群、貧血、肝疾患、腎疾患なども強い眠気の原因となる可能性があります。薬剤の副作用、アルコールの影響、生活習慣の乱れ、ストレスなども眠気に関与する場合があるとされています。また、季節性情動障害では特定の季節に眠気が強くなることがあります。

強い眠気の原因は多岐にわたるため、風邪症状との関連が不明確な場合や症状が長期間続く場合には専門的な判断が重要です。

最後に、医療機関を受診すべきタイミングについて説明いたします。

異常な眠気で医療機関を受診すべきタイミング

異常な眠気で医療機関への相談を検討すべきタイミングとして、眠気の程度や持続期間、日常生活への影響などを総合的に判断することが重要とされています。

早急な受診を検討すべき症状として、突然の意識消失を伴うような強い眠気や、呼吸困難、胸痛、激しい頭痛などの症状を伴う場合があります。また、運転中や作業中に制御できない眠気に襲われる場合には、安全上の問題もあるため早めの相談が推奨されます。血糖値の異常が疑われるような症状(極度の喉の渇き、頻尿など)を伴う眠気にも注意が必要とされています。

継続的な観察が必要なケースでは、風邪症状が完全に回復したにもかかわらず強い眠気が2週間以上続く場合や、日常生活や仕事に支障をきたすほどの眠気がある場合があります。夜間十分に睡眠を取っているにもかかわらず日中の眠気が改善しない場合や、眠気と共に体重の変化、気分の落ち込み、集中力の著しい低下などを伴う場合にも相談が推奨されます。

特に注意が必要な方として、既に慢性疾患をお持ちの方や複数の薬を服用されている方では、基礎疾患の悪化や薬剤の相互作用の可能性もあるため、変化に気づいた時点で早めにご相談いただくことが大切です。また、高齢者では認知機能の変化と眠気が関連する場合もあるため、家族の方による注意深い観察も重要です。

異常な眠気についての判断や対処法には個人差があり、適切な対応についてはご相談ください。早期の適切な対応により、原因の特定や症状の改善、生活の質の向上が期待できる場合があります。


※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状や治療に関するご相談は、医療機関にご相談ください。

監修医師

理事長・院長
今村 英利
Imamura Eli

略歴

2014年10月神戸大学博士課程入学
2019年3月博士課程卒業医師免許取得
2019年4月赤穂市民病院
2021年4月亀田総合病院
2022年1月新宿アイランド内科クリニック院長
2023年2月いずみホームケアクリニック