アトピーでフケが出る原因は？頭皮の症状と適切なケア方法について

頭皮からパラパラと落ちるフケが気になっているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

アトピー性皮膚炎を持つ方の中には、頭皮の問題に悩まされている方も少なくありません。

毎日シャンプーをしているのに、肩に白い粉が落ちて恥ずかしいなど、様々な悩みを抱えていることもあるでしょう。

フケの原因がアトピーなのか、それとも別の原因なのか、判断に迷うこともあるかもしれません。

頭皮の状態を正しく理解し、適切なケアを行うことで、症状を軽減できる可能性があります。

アトピー性皮膚炎とフケの関係とは？

アトピー性皮膚炎でも頭皮にフケが出ることはありますが、頭皮のフケの原因としては脂漏性皮膚炎や乾燥など他の要因も多く、適切な原因の特定が重要とされています。

アトピーでフケが出ることはあるのか

アトピー性皮膚炎は全身の様々な部位に症状が現れる可能性がある疾患ですが、頭皮に症状が出ることは比較的少ないとされています。典型的なアトピー性皮膚炎では、顔面、首、肘や膝の内側などに症状が出やすく、頭皮は比較的症状が出にくい部位です。

しかし、頭皮にアトピー性皮膚炎の症状が出た場合、乾燥や炎症により皮膚のターンオーバーが乱れ、フケとして現れることがあります。特に小児のアトピー性皮膚炎では、頭部に症状が出ることが比較的多いとされています。

フケが出る主な原因

フケは、頭皮の角質細胞が剥がれ落ちたものです。健康な頭皮でも、古い角質は日々少しずつ剥がれ落ちていますが、通常は目に見えないほど小さいため気になりません。

フケが目立つようになる原因としては、頭皮の乾燥、脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬、真菌感染、ストレス、不適切なヘアケアなど、様々なものが考えられます。アトピー性皮膚炎による頭皮の炎症も、その原因の一つとなり得ます。

乾性フケと脂性フケの違い

フケには大きく分けて二つのタイプがあります。乾性フケは、白くて細かくパラパラと落ちるタイプで、頭皮の乾燥が主な原因です。冬場や乾燥した環境で悪化しやすい傾向があります。

脂性フケは、黄色っぽく湿った感じで、頭皮にべたつくように付着するタイプです。皮脂の過剰分泌や脂漏性皮膚炎が原因となることが多いとされています。

アトピー性皮膚炎に伴うフケは、頭皮の乾燥が原因となることが多いため、乾性フケのタイプが多いとされています。

他の疾患との関連

頭皮にフケが出る場合、アトピー性皮膚炎以外の疾患が原因である可能性も考慮する必要があります。特に脂漏性皮膚炎は、頭皮のフケの最も一般的な原因の一つです。

アトピー性皮膚炎と脂漏性皮膚炎は別の疾患ですが、両方を併発している方もいます。また、乾癬や接触性皮膚炎なども頭皮にフケを引き起こす可能性があります。

このように、アトピー性皮膚炎でもフケが出ることはありますが、頭皮のフケには様々な原因があり、適切な診断に基づいたケアが重要とされています。

続いて、アトピーでフケが出やすい原因とメカニズムについて詳しく見ていきましょう。

アトピーでフケが出やすい原因とメカニズム

アトピー性皮膚炎でフケが出やすくなる原因として、頭皮の乾燥とバリア機能の低下、ターンオーバーの乱れ、掻破による影響などが考えられます。

頭皮の乾燥とバリア機能低下

アトピー性皮膚炎の方は、皮膚全体のバリア機能が低下している傾向があります。頭皮も例外ではなく、セラミドなどの保湿成分が不足し、水分を保持する能力が低下していることがあります。

頭皮が乾燥すると、角質層がもろくなり、大きな塊となって剥がれ落ちやすくなります。これが目に見えるフケとなって現れます。

また、バリア機能が低下した頭皮は、シャンプーや整髪料などの刺激を受けやすくなり、炎症が起こりやすい状態にあります。

皮膚のターンオーバーの乱れ

健康な皮膚では、約28日周期で古い角質が新しい角質に置き換わります(ターンオーバー)。しかし、アトピー性皮膚炎で炎症がある部位では、このターンオーバーが乱れることがあります。

ターンオーバーが早まると、まだ十分に成熟していない角質細胞が表面に押し出され、大きな塊として剥がれ落ちます。これがフケとして目立つようになります。

逆に、ターンオーバーが遅くなると、古い角質が蓄積し、厚いかさぶたのような状態になることもあります。

掻破による影響

頭皮にかゆみがあると、無意識に掻いてしまうことがあります。爪で頭皮を掻くと、角質が削り取られてフケが増えるだけでなく、頭皮に傷がつき、炎症が悪化する原因となります。

掻破により頭皮のバリア機能がさらに低下すると、乾燥が進み、さらにフケが増えるという悪循環に陥ることがあります。

また、掻き壊した傷から細菌が侵入し、感染症を起こすリスクも高まります。

脂漏性皮膚炎の合併

アトピー性皮膚炎を持つ方が、脂漏性皮膚炎を併発していることもあります。脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位(頭皮、顔、胸など)に好発する炎症性皮膚疾患で、マラセチアという真菌が関与していると考えられています。

脂漏性皮膚炎を併発している場合、アトピー性皮膚炎のケアだけでは十分な改善が得られないことがあります。両方の疾患に対するアプローチが必要になります。

季節や環境の影響

季節や環境もフケの発生に影響します。冬場は空気が乾燥し、暖房により室内も乾燥するため、頭皮の乾燥が進みやすくなります。

夏場は汗や皮脂の分泌が増え、頭皮環境が悪化することがあります。また、紫外線による頭皮へのダメージも、バリア機能の低下につながる可能性があります。

季節の変わり目は、気温や湿度の変化に頭皮が適応しきれず、フケが出やすくなることがあります。

このように、アトピーでフケが出やすくなる原因には、乾燥、ターンオーバーの乱れ、掻破、脂漏性皮膚炎の合併など、複数の要因が関与していると考えられています。

次に、アトピーによるフケと脂漏性皮膚炎によるフケの違いについて説明いたします。

アトピーによるフケと脂漏性皮膚炎によるフケの違い

アトピー性皮膚炎によるフケと脂漏性皮膚炎によるフケには、見た目や性状、かゆみの程度などに違いがあり、適切な治療のためには区別することが重要とされています。

フケの見た目と性状の違い

アトピー性皮膚炎に伴うフケは、白くて乾いた細かいフケが多いとされています。頭皮の乾燥が主な原因であるため、パラパラと落ちるタイプのフケが特徴です。

一方、脂漏性皮膚炎によるフケは、黄色っぽく脂っぽい、湿った感じのフケが特徴です。頭皮にべたつくように付着していることが多く、大きな塊になることもあります。

ただし、これらの特徴は典型的な場合であり、実際には明確に区別できないこともあります。

かゆみの程度

アトピー性皮膚炎に伴う頭皮の症状では、一般的に強いかゆみを伴うことが多いとされています。かゆみのために頭皮を掻き壊してしまい、さらに症状が悪化することもあります。

脂漏性皮膚炎でもかゆみを伴うことがありますが、アトピー性皮膚炎に比べると軽度から中等度であることが多いとされています。

かゆみの程度だけで両者を区別することは難しいですが、参考情報の一つにはなります。

好発部位の違い

アトピー性皮膚炎は、頭皮だけに症状が出ることは少なく、顔、首、肘や膝の内側など、他の部位にも症状があることが多いとされています。頭皮だけにフケがある場合は、アトピー性皮膚炎以外の原因を考慮する必要があります。

脂漏性皮膚炎は、頭皮の他に、眉毛、鼻の周り、耳の後ろなど、皮脂の分泌が多い部位に好発します。これらの部位にも症状がある場合は、脂漏性皮膚炎の可能性が高まります。

乾癬の場合は、頭皮の生え際を越えて額に病変が広がることが特徴的です。

併発している場合

アトピー性皮膚炎と脂漏性皮膚炎は別の疾患ですが、両方を併発している方もいます。この場合、乾いたフケと脂っぽいフケが混在したり、症状が複雑になったりすることがあります。

併発している場合は、それぞれの疾患に対するアプローチが必要となり、治療がより複雑になることがあります。

適切な診断の重要性

フケの原因を自己判断で特定することは難しく、適切な治療のためには皮膚科での診断が重要です。見た目だけでは区別が難しいことも多く、問診や他の部位の症状、経過なども含めて総合的に判断されます。

脂漏性皮膚炎には抗真菌薬を含むシャンプーが有効ですが、アトピー性皮膚炎には保湿と抗炎症薬が重要です。原因によって治療法が異なるため、正確な診断を受けることが大切です。

このように、アトピーによるフケと脂漏性皮膚炎によるフケには違いがありますが、自己判断は難しく、適切な診断と治療のためには医療機関での評価が重要とされています。

続いて、アトピーでフケが気になる時の頭皮ケアと対処法について見ていきましょう。

アトピーでフケが気になる時の頭皮ケアと対処法

アトピー性皮膚炎でフケが気になる時は、適切なシャンプーの選択、正しい洗い方、頭皮の保湿などの頭皮ケアが重要とされています。

シャンプーの選び方

シャンプーは、低刺激性で、無香料・無着色のものを選ぶことが推奨されます。アミノ酸系や弱酸性のシャンプーは、頭皮への刺激が少ないとされています。

「フケ・かゆみ用」と表示されているシャンプーの中には、脂漏性皮膚炎向けの抗真菌成分を含むものがあります。アトピー性皮膚炎による乾燥性のフケには必ずしも適さない場合があるため、選択には注意が必要です。

敏感肌用やアトピー肌用として販売されているシャンプーも選択肢の一つですが、すべての人に合うわけではありません。新しいシャンプーを使い始める際は、少量から試すことが推奨されます。

正しい洗い方とすすぎ方

シャンプーの方法も重要です。爪を立てずに、指の腹で優しくマッサージするように洗うことが基本です。ゴシゴシこすると頭皮を傷つけ、フケが悪化する原因となります。

シャンプーは十分に泡立ててから頭皮につけることで、摩擦を減らすことができます。直接原液を頭皮につけることは避けた方がよいでしょう。

すすぎは特に重要で、シャンプーやリンスの成分が頭皮に残ると、刺激となってかゆみやフケの原因となります。十分な時間をかけて、ぬるま湯でしっかりすすぐことが大切です。

お湯の温度は38〜40度程度のぬるめに設定します。熱いお湯は頭皮の乾燥を促進し、フケを悪化させる可能性があります。

頭皮の保湿方法

アトピー性皮膚炎による乾燥性のフケには、頭皮の保湿が有効です。ただし、頭皮は髪に覆われているため、顔や体に使う保湿剤をそのまま使うと、髪がべたついてしまうことがあります。

頭皮用のローションやオイル、美容液などを使用する方法があります。少量を頭皮に直接塗布し、髪にはつけないようにすることがポイントです。

入浴後、髪を乾かす前に頭皮用の保湿剤を塗布すると、浸透しやすいとされています。塗布後は優しくマッサージして、なじませます。

外用薬の使用

医師から頭皮用の外用薬が処方されている場合は、指示通りに使用することが重要です。頭皮用にはローションタイプやスプレータイプなど、塗りやすい剤形の外用薬があります。

ステロイド外用薬は、炎症を抑えることでかゆみやフケを軽減する効果があります。タクロリムス軟膏なども使用されることがあります。

脂漏性皮膚炎を併発している場合は、抗真菌薬を含むシャンプーや外用薬が処方されることがあります。

生活習慣での注意点

十分な睡眠、バランスの取れた食事、ストレス管理も、頭皮の健康維持に重要です。睡眠不足やストレスは、頭皮の状態を悪化させる要因となります。

ドライヤーの使用は、高温を避け、頭皮から離して使用することで、乾燥を最小限に抑えることができます。完全に乾かさないで濡れたまま寝ると、頭皮環境が悪化することがあるため、適度に乾かすことが大切です。

帽子やヘルメットを長時間着用する場合は、蒸れに注意が必要です。こまめに換気し、汗をかいたら拭き取ることが推奨されます。

このように、アトピーでフケが気になる時は、適切なシャンプー選び、正しい洗い方、頭皮の保湿などの基本的なケアが重要とされています。

次に、フケを悪化させる習慣とやってはいけないことについて説明いたします。

フケを悪化させる習慣とやってはいけないこと

アトピー性皮膚炎によるフケを悪化させないためには、過度な洗髪や爪で頭皮を掻く行為など、避けるべき習慣を知っておくことが重要です。

過度な洗髪

「フケが気になるから」と1日に何度もシャンプーをすることは、かえってフケを悪化させる原因となります。過度な洗髪は、頭皮に必要な皮脂まで除去してしまい、乾燥を促進します。

乾燥性のフケの場合、洗いすぎることで頭皮のバリア機能がさらに低下し、フケが増えるという悪循環に陥ることがあります。

洗髪は基本的に1日1回で十分とされています。乾燥が強い場合は、2日に1回程度に減らすことも検討できます。

爪で頭皮を掻く行為

かゆい時に爪で頭皮を掻くことは、最も避けるべき行為の一つです。爪で掻くと、頭皮の角質が削り取られてフケが増えるだけでなく、頭皮に傷がつき、炎症や感染の原因となります。

シャンプー時にも、爪を立てて洗うことは避け、指の腹で優しく洗うことが大切です。ブラシで頭皮をゴシゴシこすることも同様に避けるべきです。

かゆみが我慢できない時は、指の腹で軽く押さえる、冷やしたタオルを当てるなど、掻く以外の方法で対処することが推奨されます。

刺激の強いシャンプーの使用

洗浄力が強すぎるシャンプー、香料や着色料が多く含まれるシャンプー、アルコール成分が高いシャンプーなどは、頭皮への刺激となり、フケを悪化させる可能性があります。

「スッキリ感」を売りにしたシャンプーの中には、洗浄力が強すぎるものもあります。使用後に頭皮がつっぱる感じがする場合は、そのシャンプーが合っていない可能性があります。

パーマ液やヘアカラー剤も頭皮への刺激となるため、フケが気になる時期には控えるか、使用前に医師に相談することが推奨されます。

フケを無理に剥がす行為

頭皮に付着しているフケやかさぶたを、爪や櫛で無理に剥がすことは避けるべきです。無理に剥がすと、頭皮が傷つき、出血したり、感染のリスクが高まったりします。

剥がしたい衝動があっても我慢し、適切なシャンプーや外用薬により自然に改善するのを待つことが大切です。どうしても気になる場合は、オイルを塗布して柔らかくしてから、優しく洗い流す方法もあります。

自己判断での対処

フケの原因を自己判断で決めつけ、適切でないケアを続けることも問題です。例えば、脂漏性皮膚炎が原因なのに乾燥対策ばかりしていたり、逆にアトピーによる乾燥が原因なのに脂性フケ用のシャンプーを使い続けたりすると、症状が改善しないどころか悪化することがあります。

市販薬を長期間使用しても改善しない場合や、症状が悪化している場合は、自己判断での対処を続けずに、医療機関を受診することが推奨されます。

このように、過度な洗髪、爪で掻く行為、刺激の強いシャンプーの使用、フケを無理に剥がす行為、自己判断での対処などは、フケを悪化させる原因となるため避けることが重要とされています。

最後に、フケの症状で医療機関を受診すべきタイミングについて説明いたします。

フケの症状で医療機関を受診すべきタイミング

アトピー性皮膚炎に伴うフケがセルフケアで改善しない場合や、感染や脱毛を伴う場合は、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが重要です。

セルフケアで改善しない場合

適切なシャンプーへの変更、洗い方の改善、保湿などのセルフケアを2〜4週間程度続けても改善が見られない場合は、医療機関への相談が推奨されます。

フケの量が減らない、かゆみが続いている、頭皮の赤みが引かないなどの状態が続く場合は、セルフケアでは対処しきれない可能性があります。

また、フケの原因がアトピー性皮膚炎ではなく、脂漏性皮膚炎や乾癬など他の疾患である可能性もあるため、正確な診断を受けることが大切です。

感染や炎症の兆候がある場合

以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが推奨されます。

頭皮に黄色い膿やかさぶたがある、頭皮が赤く腫れて熱を持っている、強い痛みがある、発熱がある、リンパ節が腫れているなどの症状です。

これらは細菌感染を起こしている可能性を示唆しており、抗生物質による治療が必要になることがあります。感染を放置すると、症状が悪化したり、広がったりする可能性があります。

頭皮に円形の脱毛斑があり、その周囲にフケや炎症がある場合は、頭部白癬(しらくも)の可能性があり、抗真菌薬による治療が必要です。

脱毛を伴う場合

フケに加えて脱毛が見られる場合は、早めに受診することが推奨されます。炎症が長期間続くと、毛根がダメージを受け、脱毛につながる可能性があります。

円形脱毛症、頭部白癬、瘢痕性脱毛症など、脱毛を伴う疾患は様々あり、原因によって治療法が異なります。早期に適切な治療を受けることで、脱毛の進行を防げる可能性があります。

適切な診断と治療の選択肢

皮膚科では、フケの原因を診断し、適切な治療を提供します。視診に加えて、必要に応じて真菌検査(白癬菌やマラセチアの有無)、皮膚生検などが行われることがあります。

アトピー性皮膚炎による乾燥性のフケには、保湿剤やステロイド外用薬、タクロリムス軟膏などが処方されることがあります。頭皮用に塗りやすいローションタイプやスプレータイプの製剤もあります。

脂漏性皮膚炎が原因または併発している場合は、抗真菌成分(ケトコナゾールなど)を含むシャンプーや外用薬が処方されることがあります。

乾癬が原因の場合は、ビタミンD3外用薬やステロイド外用薬、必要に応じて内服薬や光線療法などが検討されます。

定期的な受診により、治療の効果を確認し、必要に応じて治療内容を調整していくことも重要です。フケは慢性的に続くことも多いため、長期的な管理が必要な場合があります。

このように、セルフケアで改善しない場合、感染や脱毛を伴う場合は、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが、フケの症状改善のために重要とされています。

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※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状や治療に関するご相談は、医療機関にご相談ください。