発熱で病院行くべきか?受診の判断基準とタイミングについて

発熱

熱が出た時、病院に行くべきか自宅で様子を見るべきか迷われることはないでしょうか。

体温計を見て高熱だと感じても、すぐに受診すべきか翌日まで待っても良いのか判断に困ることもあるでしょう。

特に夜間や休日に発熱した場合、救急外来を受診すべきか悩まれる方も多いかもしれません。

発熱の原因や程度は様々であり、すべての熱で病院に行く必要があるわけではありません。

病院に行くべきかの判断基準を知っておくことで、適切なタイミングで受診することができます。

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発熱で病院に行くべきか判断する基準とは?

発熱で病院に行くべきかは、体温の高さだけでなく、発熱の持続期間、全身状態、年齢、基礎疾患の有無などを総合的に判断することが重要です。

体温の高さ

体温は病院に行くべきかを判断する一つの目安になりますが、それだけで決めることはできません。一般的に、39度以上の高熱は早めの受診が推奨されますが、38度台でも全身状態が悪ければ受診が必要です。

逆に、39度以上の高熱でも、水分が取れて比較的元気であれば、すぐに受診する必要がない場合もあります。体温の数値は参考にしつつ、他の要素も考慮することが大切です。

平熱が低い方では、37度台でも身体にとっては高熱である場合があります。普段の体温と比較して、明らかに高い場合は注意が必要です。

発熱の持続期間

発熱が何日続いているかも重要な判断材料です。発熱が始まって1〜2日であれば、風邪などの軽い感染症の可能性が高く、自宅で様子を見ることも選択肢です。

しかし、38度以上の発熱が3日以上続く場合は、医療機関への受診が推奨されます。通常の風邪であれば2〜3日で解熱し始めることが多いため、それ以上続く場合は他の原因を考慮する必要があります。

発熱が1週間以上続く場合は、結核などの慢性感染症、膠原病、悪性腫瘍なども考慮する必要があり、精密検査が必要になることがあります。

全身状態の評価

体温の数値よりも、全身状態の方が重要な場合があります。発熱があっても、水分が取れている、食事がある程度取れている、会話ができている、ある程度動けるなどの場合は、緊急性は低いと考えられます。

一方、ぐったりしている、水分が全く取れない、尿が出ない、呼吸が苦しそう、意識がはっきりしないなどの場合は、たとえ体温がそれほど高くなくても、速やかな受診が必要です。

特に小児では、熱の高さよりも機嫌や活気の有無が重要な判断材料となります。高熱でも機嫌が良く遊べているようであれば、緊急性は低いことが多いとされています。

年齢や基礎疾患の考慮

年齢によって、受診すべき基準が異なります。生後3ヶ月未満の乳児が38度以上の発熱をした場合は、重篤な感染症の可能性があるため、速やかな受診が必要です。

高齢者も、発熱に対して注意が必要です。高齢者は感染症があっても高熱が出ないことがあり、微熱でも重篤な状態である可能性があります。

基礎疾患(糖尿病、心疾患、呼吸器疾患、免疫不全など)がある方は、発熱により基礎疾患が悪化するリスクがあるため、早めの受診が推奨されます。

このように、病院に行くべきかは体温の高さだけでなく、持続期間、全身状態、年齢、基礎疾患などを総合的に判断することが重要とされています。

続いて、すぐに病院に行くべき発熱の症状について見ていきましょう。

すぐに病院に行くべき発熱の症状

発熱に加えて特定の症状がある場合は、緊急性が高く、すぐに病院に行くべきとされています。

緊急性が高い症状

以下のような症状を伴う発熱は、緊急性が高く、速やかに医療機関を受診する、または救急車を呼ぶことが推奨されます。

意識障害(呼びかけに反応しない、もうろうとしている、意味不明なことを言う)、けいれんが続く、激しい頭痛と嘔吐、項部硬直(首が硬くて前に曲げられない)、呼吸困難(息が苦しい、呼吸が速い、唇が紫色になる)、胸痛などです。

これらの症状は、髄膜炎、脳炎、肺炎、敗血症などの重篤な疾患の可能性を示唆しており、早急な対応が必要です。

呼吸困難や胸痛を伴う場合

発熱に加えて、呼吸が苦しい、息切れがする、胸が痛いなどの症状がある場合は、肺炎や心筋炎などの可能性があります。

呼吸の回数が異常に多い、呼吸が浅い、話すのが苦しい、横になれないなどの症状も、呼吸困難のサインです。唇や爪が紫色になっている場合は、酸素不足の状態であり、緊急性が非常に高いとされています。

胸痛がある場合、心筋炎や心膜炎などの心臓の炎症、肺炎、肺塞栓症などの可能性があり、早急な診断と治療が必要です。

意識障害やけいれん

発熱に伴い、意識がはっきりしない、呼びかけに反応しない、もうろうとしているなどの意識障害がある場合は、非常に危険な状態です。

小児では、インフルエンザ脳症などの可能性もあります。けいれんを起こした場合、特に5分以上続く場合や、繰り返す場合は、救急車を呼ぶことが推奨されます。

高齢者では、尿路感染症や肺炎などでも意識障害を起こすことがあり、注意が必要です。

激しい頭痛や嘔吐

発熱に加えて、激しい頭痛がある場合、特に今まで経験したことのないような強い頭痛の場合は、髄膜炎や脳炎の可能性があります。

嘔吐を繰り返す、特に噴水状の嘔吐がある場合も注意が必要です。髄膜炎では、発熱、頭痛、嘔吐、項部硬直の組み合わせが特徴的です。

小児では、嘔吐や下痢により脱水が進みやすいため、水分が取れない、尿が出ないなどの症状がある場合は、早めの受診が必要です。

水分が取れない場合

発熱により水分の喪失が増えている中で、嘔吐や強い倦怠感により水分が全く取れない場合は、脱水のリスクが高まります。

尿が半日以上出ない、尿の色が非常に濃い、口の中が乾いている、皮膚がカサカサしている、涙が出ないなどは、脱水の兆候です。重度の脱水では、点滴による水分補給が必要になります。

このように、呼吸困難、意識障害、激しい頭痛、水分が取れないなどの症状を伴う発熱は、緊急性が高く、すぐに医療機関を受診すべきとされています。

次に、早めに病院に行くべき発熱の状況について説明いたします。

早めに病院に行くべき発熱の状況

緊急性は高くないものの、以下のような状況では早めに病院に行くことが推奨されます。

39度以上の高熱

39度以上の高熱がある場合は、インフルエンザなどの感染症の可能性が高く、早めの受診が推奨されます。特に、抗インフルエンザ薬は発症後48時間以内の投与が効果的であるため、早期の診断が重要です。

39度以上の高熱が出ると、体力の消耗も激しく、脱水のリスクも高まります。解熱剤を使用しても全く下がらない、すぐに再上昇するなどの場合は、より重篤な感染症の可能性もあります。

3日以上続く発熱

38度以上の発熱が3日以上続く場合は、医療機関への受診が推奨されます。通常の風邪であれば2〜3日で解熱し始めることが多いため、それ以上続く場合は他の原因を考慮する必要があります。

肺炎、尿路感染症、副鼻腔炎などの細菌感染症では、抗生物質による治療が必要です。適切な治療を受けないと、症状が長引いたり悪化したりする可能性があります。

1週間以上の発熱が続く場合は、結核などの慢性感染症、膠原病、悪性腫瘍なども考慮し、精密検査が必要になることがあります。

繰り返す発熱

一度解熱した後、再び発熱を繰り返す場合も、医療機関への受診が推奨されます。二峰性の発熱パターンは、細菌感染の合併を示唆することがあります。

例えば、インフルエンザの後に細菌性肺炎を合併した場合、一度下がった熱が再び上昇することがあります。適切な診断と治療が必要です。

周期的に発熱を繰り返す場合は、特定の感染症や血液疾患の可能性もあり、精密検査が必要になることがあります。

基礎疾患がある場合

糖尿病、心疾患、呼吸器疾患、腎疾患、肝疾患などの基礎疾患がある方は、発熱により基礎疾患が悪化するリスクがあります。

また、これらの疾患がある方は、感染症が重症化しやすい傾向があります。微熱でも早めに医療機関に相談することが推奨されます。

ステロイドや免疫抑制剤を使用している方、抗がん剤治療中の方なども、免疫力が低下しているため、発熱があれば早めの受診が重要です。

免疫力が低下している場合

HIV感染症、先天性免疫不全症、脾臓摘出後、高齢者などの免疫力が低下している方は、通常では問題にならないような病原体でも重篤な感染症を起こす可能性があります。

これらの方が発熱した場合は、たとえ軽度の発熱でも、早めに医療機関を受診して適切な評価を受けることが推奨されます。

このように、39度以上の高熱、3日以上続く発熱、繰り返す発熱、基礎疾患がある場合などは、緊急性は高くないものの早めの受診が推奨されます。

続いて、翌日の受診で様子を見ても良い場合について見ていきましょう。

翌日の受診で様子を見ても良い場合

以下のような場合は、緊急受診の必要はなく、自宅で様子を見て翌日以降に受診することも選択肢です。

軽度の発熱

37〜38度程度の軽度の発熱で、他に重い症状がない場合は、自宅で様子を見ることも可能です。特に、風邪の初期症状(鼻水、のどの痛みなど)がある場合は、風邪の可能性が高いとされています。

軽度の発熱であっても、全身状態が悪い場合や、他の症状を伴う場合は、受診を検討することが推奨されます。

1〜2日以内の発熱

発熱が始まって1〜2日以内で、徐々に改善傾向にある場合は、自宅で様子を見ることも可能です。風邪などの軽い感染症は、通常2〜3日で自然に改善していきます。

ただし、症状が悪化している場合や、3日目になっても改善しない場合は、医療機関への受診が推奨されます。

水分が取れている

発熱があっても、水分が十分に取れている場合は、脱水のリスクが低く、緊急性は低いと考えられます。水、お茶、スポーツドリンク、経口補水液などを、こまめに摂取できていることが重要です。

尿も通常通り出ており、色も薄い黄色であれば、水分バランスが保たれていると判断できます。

比較的元気がある

発熱があっても、会話ができる、ある程度動ける、小児であれば遊べるなど、比較的元気がある場合は、緊急性は低いとされています。

食欲が完全になくても、少量でも食べられる、水分が取れているなどの場合は、自宅で様子を見ることも可能です。

他に重い症状がない

発熱以外に、呼吸困難、意識障害、激しい頭痛、激しい腹痛、血尿、血便などの重い症状がない場合は、緊急性は低いと考えられます。

軽い咳、鼻水、のどの痛み程度の症状であれば、風邪などの軽い感染症の可能性が高く、自宅で様子を見ることも選択肢です。

ただし、これらの条件を満たしていても、不安がある場合や、判断に迷う場合は、電話で医療機関に相談したり、電話相談窓口を利用したりすることが推奨されます。夜間であれば、翌朝まで待って受診することも可能です。

このように、軽度の発熱で水分が取れており比較的元気がある場合は、翌日以降の受診で様子を見ることも選択肢とされています。

次に、年齢別の病院に行くべき判断基準について説明いたします。

年齢別の病院に行くべき判断基準

年齢によって、病院に行くべき判断基準が異なります。

生後3ヶ月未満の乳児

生後3ヶ月未満の乳児が38度以上の発熱をした場合は、昼夜を問わず速やかに医療機関を受診することが強く推奨されます。

この月齢の乳児は、免疫機能が未熟で、重篤な細菌感染症(敗血症、髄膜炎など)のリスクが高いとされています。見た目は元気そうでも、急速に悪化する可能性があります。

生後3ヶ月未満の発熱は、医学的には緊急事態と考えられており、すぐに受診することが重要です。

乳幼児の場合

生後3ヶ月以降の乳幼児では、発熱の高さよりも全身状態が重要な判断材料となります。

高熱(39度以上)でも、機嫌が良い、水分が取れている、遊べているなどの場合は、緊急性は低いことが多いとされています。逆に、37度台の微熱でも、ぐったりしている、水分が取れない、けいれんを起こしたなどの場合は、すぐに受診が必要です。

乳幼児は症状を言葉で訴えることができないため、いつもと様子が違う、機嫌が悪い、泣き方がいつもと違うなどの変化に注意することが大切です。

小児の場合

小学生以上の小児では、症状を言葉で伝えることができるため、どこが辛いか、どのような症状があるかを確認することが重要です。

39度以上の高熱が3日以上続く場合、激しい頭痛や腹痛を訴える場合、呼吸が苦しそうな場合などは、医療機関への受診が推奨されます。

一方、37〜38度程度の発熱で、比較的元気があり、水分が取れている場合は、自宅で様子を見ることも可能です。学校は休ませ、十分な休養を取らせることが大切です。

成人の場合

健康な成人では、38度程度の発熱であれば、1〜2日自宅で様子を見ることも選択肢です。水分補給と休養を十分に取り、市販の解熱鎮痛剤を使用することもできます。

ただし、39度以上の高熱が出た場合、3日以上発熱が続く場合、呼吸困難や胸痛などの重い症状を伴う場合は、医療機関への受診が推奨されます。

仕事は無理をせず休むことが、早期回復と感染拡大防止の両面で重要です。

高齢者の場合

高齢者は、重篤な感染症があっても高熱が出ないことがあります。37度台の微熱でも、元気がない、食事が取れない、意識がはっきりしないなどの症状があれば、早めに受診することが推奨されます。

高齢者では、肺炎や尿路感染症などが重症化しやすく、また基礎疾患を持っている方も多いため、発熱に対して特に注意が必要です。

いつもと様子が違う、ぼんやりしている、転倒しやすいなどの変化も、感染症のサインである可能性があります。家族による注意深い観察が重要です。

このように、年齢によって病院に行くべき判断基準が異なり、特に乳児と高齢者では慎重な対応が必要とされています。

最後に、夜間・休日に病院に行くべきか迷った時の対応について説明いたします。

夜間・休日に病院に行くべきか迷った時の対応

夜間や休日に発熱した場合、すぐに受診すべきか翌日まで待つべきか判断に迷うことがあります。

救急受診が必要な症状

以下のような症状がある場合は、夜間や休日でも速やかに救急外来を受診する、または救急車を呼ぶことが推奨されます。

呼吸困難(息が苦しい、唇が紫色)、意識障害(呼びかけに反応しない)、けいれんが続く、激しい頭痛と嘔吐、胸痛、水分が全く取れず尿が出ない、生後3ヶ月未満の乳児の38度以上の発熱などです。

これらの症状は緊急性が高く、時間を待たずに対応が必要です。

翌日まで待てる場合の判断

以下のような場合は、翌日の診療時間まで待って受診することも選択肢です。

37〜38度程度の発熱で、水分が取れている、比較的元気がある、発熱以外に重い症状がない、解熱剤が効いている、1〜2日以内の発熱である場合などです。

自宅で水分補給と休養を十分に取り、体温を定期的に測定しながら様子を見ます。症状が悪化した場合は、時間を問わず受診を検討します。

夜間・休日診療所の利用

緊急性は高くないが、翌日まで待つのは不安という場合は、夜間・休日診療所を利用することも選択肢です。

多くの自治体では、夜間や休日に診療を行う診療所を設けています。ただし、これらの診療所も混雑していることがあり、待ち時間が長くなることもあります。

事前に電話で確認してから受診することが推奨されます。

電話相談窓口の活用

受診すべきか判断に迷う場合、電話相談窓口を利用することができます。

救急安心センター事業(#7119)では、医師や看護師が電話で相談に応じ、救急受診の必要性についてアドバイスを受けることができます。ただし、すべての地域で実施されているわけではありません。

小児の場合は、小児救急電話相談(#8000)を利用できます。休日や夜間に子どもの症状について相談したい時に、小児科医や看護師からアドバイスを受けることができます。

これらの相談窓口は、受診の必要性を判断する助けとなりますが、最終的な判断は相談者自身が行う必要があります。

救急車を呼ぶべき状況

以下のような状況では、自力で病院に行くことが困難または危険であるため、救急車を呼ぶことが推奨されます。

意識がない、呼吸が止まっている、けいれんが止まらない、呼吸困難で話せない、胸を強く押さえて苦しんでいる、大量の出血がある、急激な意識レベルの低下などです。

救急車を呼ぶ際は、発熱があること、いつから熱があるか、他にどのような症状があるかを伝えることが重要です。

このように、夜間や休日に発熱した場合、救急受診が必要な症状があるか、電話相談窓口を活用するか、翌日まで待てるかを判断し、状況に応じた適切な対応を取ることが重要とされています。


※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状や治療に関するご相談は、医療機関にご相談ください。

監修医師

理事長・院長
今村 英利
Imamura Eli

略歴

2014年10月神戸大学博士課程入学
2019年3月博士課程卒業医師免許取得
2019年4月赤穂市民病院
2021年4月亀田総合病院
2022年1月新宿アイランド内科クリニック院長
2023年2月いずみホームケアクリニック