アトピーで疲れやすいのはなぜ?疲労の原因とメカニズム、適切な対処法を解説

アトピー

日常生活の中で「最近とても疲れやすい」と感じることが続いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

アトピー性皮膚炎を持つ方の中には、十分に休んでいるつもりでも疲れが取れないという経験をされる方がいらっしゃいます。

夜はしっかり寝ているはずなのに朝起きても疲労感が残る、日中に強い眠気を感じるといった状態に悩まれることもあるかもしれません。

このような疲労感とアトピー性皮膚炎との関連について、疑問に思われることもあるでしょう。

慢性的な皮膚症状が身体全体に与える影響を理解することは、適切な対処を考える上で重要とされています。

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アトピー性皮膚炎で疲れやすいと感じる理由とは?

アトピー性皮膚炎そのものが直接的に疲労を引き起こすわけではありませんが、睡眠障害、慢性的なかゆみ、ストレスなどを通じて間接的に疲れやすい状態を招く可能性があるとされています。

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の低下と免疫の過剰反応により生じる慢性的な炎症性皮膚疾患です。この疾患自体が直接的にエネルギーを大量に消費したり、疲労物質を産生したりするわけではありません。

しかし、慢性疾患を抱えることによる様々な影響が、結果として疲労感につながる可能性があります。特に、夜間のかゆみによる睡眠の質の低下は、疲れやすい状態を引き起こす主要な要因の一つとされています。

アトピーが疲労につながる間接的な経路

アトピー性皮膚炎による疲労感は、主に以下のような経路を通じて生じると考えられています。睡眠障害による休息不足、慢性的なかゆみによる精神的・身体的消耗、掻破行動によるエネルギー消費、心理的ストレスや不安、社会生活上の制限による疲労などです。

睡眠は、身体と脳の回復に不可欠なプロセスです。夜間のかゆみにより睡眠が中断されると、深い睡眠(徐波睡眠)の時間が減少し、十分な休息が得られません。これが翌日の疲労感や日中の眠気につながります。

慢性的なかゆみは、常に注意を向けなければならない刺激であり、精神的なエネルギーを消耗します。また、かゆみに耐えること自体がストレスとなり、心身の疲労を増大させる可能性があります。

慢性疾患としての負担

アトピー性皮膚炎は、多くの場合、長期間にわたって症状が続く慢性疾患です。日々のスキンケア、薬剤の塗布、環境への配慮など、継続的な管理が必要であり、これらが心理的な負担となることがあります。

症状の悪化と改善を繰り返す中で、「いつ良くなるのか」「いつまで続くのか」という不安を抱えることも、精神的な疲労につながる可能性があります。また、外見への不安や、社会生活での制限(プールや温泉を避ける、特定の活動を控えるなど)も、慢性的なストレス源となり得ます。

個人差の大きさ

アトピー性皮膚炎による疲労感の程度は、個人によって大きく異なります。症状の重症度、睡眠の質、心理的な対処能力、生活環境、社会的サポートの有無など、多くの要因が影響します。

同じ程度の皮膚症状であっても、ある人は強い疲労感を感じる一方で、別の人はそれほど疲労を感じないということもあります。また、症状が改善している時期と悪化している時期でも、疲労感の程度は変化します。

このように、アトピー性皮膚炎自体は直接的な疲労の原因ではありませんが、睡眠障害や心理的負担などを通じて、間接的に疲れやすい状態を招く可能性があるとされています。

続いて、アトピー性皮膚炎で疲れやすい主な原因とメカニズムについて詳しく見ていきましょう。

アトピー性皮膚炎で疲れやすい主な原因とメカニズム

アトピー性皮膚炎を持つ方が疲れやすい状態になる原因として、睡眠障害、慢性的なかゆみの影響、ストレス、炎症の影響などが複合的に作用していると考えられています。

睡眠障害による疲労

アトピー性皮膚炎で疲れやすい最も大きな要因は、睡眠の質の低下です。夜間のかゆみにより、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早く目覚めてしまうなどの睡眠障害が生じることが多いとされています。

研究によると、アトピー性皮膚炎の患者さんの約60〜80%が睡眠障害を経験しており、特に症状が重症な方ほど睡眠の質が低いことが報告されています。夜間に平均して10〜20回も目が覚めるという報告もあります。

睡眠が中断されることで、深い睡眠の時間が減少し、成長ホルモンの分泌が低下したり、免疫機能が十分に回復しなかったりする可能性があります。これにより、翌日の疲労感が増し、日中のパフォーマンスが低下します。

睡眠不足は、かゆみの知覚を増強させることも知られており、睡眠不足→かゆみの増強→さらなる睡眠障害という悪循環を生じさせる可能性があります。

慢性的なかゆみによる消耗

かゆみは、単なる不快な感覚ではなく、注意力やエネルギーを大きく消耗する刺激です。慢性的なかゆみと向き合うことは、常に警報が鳴っている状態に耐え続けるようなものであり、精神的・身体的に疲弊する原因となります。

かゆみを我慢しようと意識的に努力することも、認知的なリソースを消費し、他の作業への集中力を低下させます。また、かゆみによるストレスは、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌を増加させ、これが長期的には疲労感を増大させる可能性があります。

ストレスと心理的負担

アトピー性皮膚炎に伴う心理的ストレスも、疲れやすい状態を招く重要な要因です。症状への不安、外見への心配、社会生活での制限、「いつ良くなるのか」という先の見えない状況などが、慢性的なストレス源となります。

慢性的なストレス状態では、副腎から分泌されるコルチゾールのパターンが乱れ、疲労感が増すことがあります。また、ストレスは睡眠の質をさらに低下させ、食欲や気分にも影響を与え、総合的に疲労感を増大させる可能性があります。

アトピー性皮膚炎のある方は、一般人口と比較してうつ病や不安障害を併発するリスクが高いことが知られており、これらの精神的問題も疲労感の原因となり得ます。

炎症による身体への影響

炎症が広範囲にわたる場合や重症の場合、炎症反応に伴って産生されるサイトカイン(炎症性物質)が、倦怠感や疲労感を引き起こす可能性が指摘されています。

インターロイキン-1やTNF-αなどの炎症性サイトカインは、中枢神経系に作用し、倦怠感や疲労感、食欲低下などを引き起こすことが知られています。ただし、アトピー性皮膚炎の炎症の程度と全身性の疲労感の関連については、まだ十分に解明されていません。

掻破行動のエネルギー消費

無意識的な掻破行動も、エネルギーを消費します。特に夜間の掻破は、睡眠を中断するだけでなく、身体的な活動として一定のエネルギーを消費します。日中も頻繁に掻いている場合、その累積的なエネルギー消費は無視できないかもしれません。

また、掻破により皮膚が傷つくと、その修復にもエネルギーが必要となります。慢性的に皮膚の損傷と修復が繰り返されることで、体内のエネルギーバランスに影響を与える可能性も考えられます。

このように、アトピー性皮膚炎で疲れやすい状態になる背景には、睡眠障害、かゆみの消耗、ストレス、炎症など複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。

次に、アトピーで疲れやすい状態の特徴と日常生活への影響について説明いたします。

アトピーで疲れやすい状態の特徴と日常生活への影響

アトピー性皮膚炎に伴って疲れやすい状態には特徴的なパターンがあり、日常生活の様々な場面に影響を与える可能性があるとされています。

疲労の現れ方

アトピー性皮膚炎に伴う疲労は、朝起きた時点ですでに疲れている、午前中から強い疲労感や眠気を感じる、夕方になると極度に疲れる、休日に寝溜めしても疲れが取れないといった形で現れることが多いとされています。

身体的な疲労感だけでなく、精神的な疲労感も強く、「やる気が出ない」「何をするのも億劫」「集中できない」といった状態を伴うことがあります。また、症状が悪化している時期に疲労感も強くなる傾向があります。

睡眠不足による日中の影響

夜間の睡眠が十分でないことにより、日中に強い眠気を感じることがあります。授業中や会議中、運転中など、本来は集中すべき場面で眠気に襲われることは、学業や仕事のパフォーマンスを低下させるだけでなく、安全上の問題にもつながります。

短時間の仮眠を取っても疲れが回復しない、逆に仮眠後にさらに眠くなるといった経験をすることもあります。これは、睡眠のリズムが乱れていることを示唆している可能性があります。

集中力・作業効率の低下

慢性的な疲労と睡眠不足は、認知機能に影響を与えます。記憶力の低下、判断力の鈍化、ミスの増加、作業スピードの低下などが生じることがあります。

学生の場合、学業成績に影響が出ることがあります。社会人の場合、仕事の効率が低下し、それがストレスとなり、さらに症状や疲労感を悪化させるという悪循環に陥ることもあります。

また、疲労により感情のコントロールが難しくなり、イライラしやすくなったり、些細なことで落ち込みやすくなったりすることもあります。

慢性疲労症候群との違い

アトピー性皮膚炎に伴う疲れやすい状態と、慢性疲労症候群(ME/CFS)は異なるものです。慢性疲労症候群は、6ヶ月以上続く原因不明の強い疲労を主症状とする疾患で、特定の診断基準があります。

アトピー性皮膚炎に伴う疲労は、主に睡眠障害やストレスといった明確な原因があり、アトピーの症状が改善すれば疲労も軽減することが期待できます。一方、慢性疲労症候群では、休息しても疲労が改善せず、原因も不明確です。

ただし、アトピー性皮膚炎を持つ方が、慢性疲労症候群や他の疲労を引き起こす疾患を併発している可能性もあるため、異常に強い疲労が続く場合には、他の原因も考慮する必要があります。

QOL(生活の質)への影響

慢性的な疲れやすい状態は、生活の質を著しく低下させます。趣味や余暇活動を楽しむ余裕がなくなる、家族や友人との交流が減る、運動や外出を控えるようになるなど、生活の様々な側面に影響を及ぼします。

子どもの場合、遊びや運動への参加が制限されたり、友人関係に影響が出たりすることもあります。また、家族全体の生活にも影響を与え、保護者も睡眠不足になったり、疲労が蓄積したりすることがあります。

このように、アトピー性皮膚炎に伴って疲れやすい状態は、日常生活の多くの場面に影響を与え、生活の質を低下させる可能性があるとされています。

続いて、アトピーで疲れやすい時の対処法と生活上の工夫について見ていきましょう。

アトピーで疲れやすい時の対処法と生活上の工夫

アトピー性皮膚炎に伴って疲れやすい状態への対処には、かゆみのコントロール、睡眠の質の改善、適切な休息とエネルギー管理が基本となります。

かゆみのコントロール

疲れやすい状態を改善するための最も重要な対策は、かゆみを適切にコントロールすることです。かゆみが軽減されれば、睡眠の質が向上し、疲労感も軽減される可能性があります。

適切な外用薬(ステロイド外用薬、タクロリムス軟膏など)を使用して炎症をコントロールすること、十分な保湿により皮膚のバリア機能を改善すること、抗ヒスタミン薬の内服(特に夜間のかゆみに対して)などが有効とされています。

環境整備(ダニやハウスダストの対策、適切な室温・湿度の維持)も、かゆみの軽減に重要です。衣類の素材を見直す、爪を短く切る、夜間に手袋を着用するなどの工夫も役立つ場合があります。

睡眠の質の改善

睡眠環境を整えることも重要です。寝室を快適な温度と湿度に保つ、遮光カーテンで暗くする、静かな環境を作る、快適な寝具を使用するなどの工夫が推奨されます。

就寝前のルーティンを確立することも有効です。毎日同じ時刻に就寝・起床する、就寝前にリラックスできる活動(軽い読書、ぬるめの入浴、リラクゼーションなど)を行う、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控えるなどが推奨されます。

就寝前のスキンケア(十分な保湿、必要に応じた外用薬の使用)をしっかり行うことで、夜間のかゆみを軽減できる可能性があります。

エネルギー管理と休息のバランス

慢性的に疲れやすい状態では、エネルギーを効率的に使う工夫が必要です。優先順位をつけて、重要なことにエネルギーを集中する、完璧を目指さず、できる範囲でよしとする、疲れる前に休憩を取るなどの工夫が有効です。

短時間の仮眠(パワーナップ)を取り入れることも、疲労回復に役立つ場合があります。ただし、夜間の睡眠に影響しないよう、午後3時までに15〜20分程度に留めることが推奨されます。

無理をして活動を続けるよりも、適度に休息を取りながら活動することで、長期的には生産性が向上する可能性があります。

ストレス軽減の方法

ストレス管理も、疲れやすい状態の改善に重要です。深呼吸、瞑想、ヨガなどのリラクゼーション技法を習得する、趣味や楽しい活動の時間を持つ、信頼できる人に話を聞いてもらう、必要に応じてカウンセリングを受けるなどが有効とされています。

アトピー性皮膚炎に対する不安や心配を一人で抱え込まず、医療者や患者会などで共有することも、心理的負担の軽減につながる可能性があります。

適度な運動の取り入れ方

疲れやすいからといって全く運動しないと、かえって体力が低下し、疲れやすくなる悪循環に陥ることがあります。自分の体力に合った適度な運動を取り入れることは、睡眠の質の向上、ストレス軽減、体力向上に役立ちます。

ただし、大量に汗をかく運動はかゆみを誘発する可能性があるため、軽いウォーキング、ストレッチ、水泳(塩素に対する反応がなければ)など、自分に合った運動を選ぶことが大切です。運動後は速やかにシャワーを浴び、保湿剤を塗ることが推奨されます。

このように、アトピー性皮膚炎で疲れやすい時の対処には、かゆみのコントロール、睡眠改善、適切な休息、ストレス管理などの総合的なアプローチが重要とされています。

次に、疲れやすい症状が強い時に考えるべき他の原因について説明いたします。

疲れやすい症状が強い時に考えるべき他の原因

アトピー性皮膚炎に加えて、疲れやすい症状が異常に強い場合や持続する場合には、他の疾患が隠れている可能性も考慮する必要があります。

貧血や甲状腺機能の問題

貧血は、疲れやすい症状の一般的な原因です。特に女性では、月経による鉄欠乏性貧血が多く見られます。貧血の症状には、疲労感、息切れ、動悸、顔色が悪い、めまいなどがあります。

甲状腺機能低下症も、疲労感の原因となります。甲状腺ホルモンが不足すると、全身の代謝が低下し、疲れやすい、体重増加、寒がり、便秘、むくみなどの症状が現れます。血液検査により診断できます。

逆に、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)でも、過度のエネルギー消費により疲労感が生じることがあります。

うつ病や不安障害

アトピー性皮膚炎を持つ方は、うつ病や不安障害を併発するリスクが高いことが知られています。うつ病の主な症状には、気分の落ち込み、興味や喜びの喪失、疲労感、睡眠障害、食欲の変化、集中力の低下、自己否定的な考えなどがあります。

慢性的な疲労感が、実はうつ病の症状である可能性もあります。アトピー性皮膚炎の負担に加えて、うつ病を併発している場合、疲労感はさらに強くなります。

不安障害でも、常に緊張状態にあることで精神的・身体的に疲弊し、疲れやすい状態になることがあります。

慢性疲労症候群

慢性疲労症候群(ME/CFS)は、6ヶ月以上続く原因不明の強い疲労を主症状とする疾患です。休息しても改善せず、軽い活動でも疲労が著しく悪化する(労作後倦怠感)ことが特徴です。

アトピー性皮膚炎とは別の疾患ですが、併発する可能性もあります。診断には特定の基準があり、他の疾患を除外した上で診断されます。

他の内科的疾患

糖尿病、心疾患、腎疾患、肝疾患、慢性感染症、自己免疫疾患、がんなど、様々な内科的疾患が疲労感の原因となる可能性があります。

特に、体重の変化、発熱、息切れ、胸痛、むくみ、尿の異常、黄疸などの他の症状を伴う場合には、これらの疾患の可能性を考慮する必要があります。

薬剤の副作用

抗ヒスタミン薬の中には、眠気や倦怠感を副作用として持つものがあります。特に第一世代の抗ヒスタミン薬は、中枢神経系に作用し、眠気を引き起こしやすいとされています。

他の疾患で服用している薬剤(降圧薬、精神科の薬など)も、副作用として疲労感を引き起こす可能性があります。複数の薬剤を服用している場合には、その相互作用も考慮する必要があります。

このように、疲れやすい症状が強い場合には、アトピー性皮膚炎以外の原因も考慮し、必要に応じて医療機関で評価を受けることが重要とされています。

最後に、疲れやすい状態で医療機関を受診すべきタイミングについて説明いたします。

疲れやすい状態で医療機関を受診すべきタイミング

アトピー性皮膚炎に伴って疲れやすい状態が日常生活に支障をきたしている場合、または他の症状を伴う場合には、適切なタイミングで医療機関を受診することが重要です。

日常生活に支障をきたす場合

以下のような状況では、医療機関への相談が推奨されます。

疲労感により学校や仕事に行けない、または著しくパフォーマンスが低下している場合、十分に睡眠を取っているつもりでも疲れが全く取れない状態が2週間以上続く場合、日中の眠気により運転や作業が危険な状態になっている場合、家事や日常生活の基本的な活動ができないほどの疲労感がある場合などです。

これらの状態は、単なる「疲れ」として済ませるべきではなく、適切な評価と対処が必要です。

他の症状を伴う場合

疲労感に加えて以下のような症状がある場合は、早めに受診することが推奨されます。

発熱が続く、体重が減少している(意図的なダイエットなし)、息切れや動悸がある、めまいや立ちくらみが頻繁にある、顔色が悪い、むくみがある、気分の落ち込みが2週間以上続いているなどの症状です。

これらは、他の疾患を示唆する可能性があり、血液検査や他の検査により原因を特定する必要があります。

アトピー治療の見直しの必要性

アトピー性皮膚炎の症状が十分にコントロールされていない場合、それが疲れやすい状態の主な原因となっている可能性があります。現在の治療で症状が改善していない場合、夜間のかゆみが強く睡眠が妨げられている場合、掻破が止められず皮膚の状態が悪化している場合などには、治療の見直しが必要です。

皮膚科医と相談し、外用薬の種類や強さの調整、内服薬の追加、生活指導の見直しなどを検討することで、症状のコントロールが改善し、結果として疲労感も軽減される可能性があります。

他科との連携による包括的評価

疲れやすい状態の原因が複数ある場合や、アトピー性皮膚炎以外の疾患が疑われる場合には、複数の診療科が連携して評価することが有効です。

皮膚科に加えて、内科(貧血、甲状腺機能、糖尿病などの評価)、心療内科や精神科(うつ病、不安障害の評価)、睡眠外来(睡眠障害の専門的評価)などとの連携により、包括的なアプローチが可能になります。

心身両面からのアプローチ

疲れやすい状態は、身体的要因と心理的要因が複雑に絡み合っていることが多いため、両面からのアプローチが重要です。身体的な検査により器質的な問題がないことを確認した上で、心理的なサポート(カウンセリング、認知行動療法など)を組み合わせることで、より効果的な改善が期待できる場合があります。

アトピー性皮膚炎という慢性疾患と付き合いながら、どのように生活の質を維持・向上させるかという視点からの支援も重要です。疲労感を減らし、エネルギーを効率的に使い、充実した生活を送るための具体的な戦略を、医療者と共に考えることができます。

定期的な経過観察により、症状や疲労感の変化を評価し、治療やサポートの内容を調整していくことも、長期的な管理には重要です。

このように、アトピー性皮膚炎に伴って疲れやすい状態が続く場合には、適切なタイミングで医療機関を受診し、包括的な評価と多面的なアプローチを受けることが重要とされています。


※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状や治療に関するご相談は、医療機関にご相談ください。

監修医師

理事長・院長
今村 英利
Imamura Eli

略歴

2014年10月神戸大学博士課程入学
2019年3月博士課程卒業医師免許取得
2019年4月赤穂市民病院
2021年4月亀田総合病院
2022年1月新宿アイランド内科クリニック院長
2023年2月いずみホームケアクリニック