39度の発熱は危険?すぐ受診すべきかの判断と適切な対処法について

発熱

体温が39度になったとき、これは危険な状態なのか心配になることはないでしょうか。

このような高熱は、身体にとって大きな負担となり、適切な対応が必要です。

すぐに病院に行くべきか、夜間でも救急受診すべきか、判断に迷われることもあるでしょう。

高熱が出る原因は様々であり、中には早期の治療が重要な疾患もあります。

39度の発熱が身体に与える影響と、適切な対処法を理解しておくことが大切とされています。

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39度の発熱が示す身体の状態

39度の発熱は高熱と定義され、身体の免疫反応が強く活性化している状態であり、体力消耗や脱水のリスクも高まります。

高熱の定義

医学的には、一般的に38度以上を発熱、39度以上を高熱と分類することが多いとされています。39度という体温は、明確に高熱の範囲に入ります。

39度の発熱は、身体が病原体に対して強い免疫反応を起こしている証拠です。多くの場合、インフルエンザなどの強いウイルス感染症や、細菌感染症で見られます。

ただし、発熱の高さと病気の重症度は必ずしも比例するわけではありません。39度以上の高熱でも軽い感染症のこともあれば、微熱でも重篤な疾患が隠れていることもあります。

免疫反応の活性化

39度の発熱は、身体の免疫システムが最大限に活性化されている状態を示しています。サイトカインと呼ばれる物質が大量に産生され、体温調節中枢に作用して体温を上昇させます。

発熱により、多くのウイルスや細菌の増殖が抑制されます。また、白血球などの免疫細胞の活動が活発になり、病原体を排除する能力が高まります。

このように、発熱は病気の症状であると同時に、身体が病気と闘うための重要な防御反応でもあります。

体力消耗のリスク

39度の高熱は、身体に大きな負担をかけます。体温が1度上昇すると、基礎代謝が約13%増加するとされており、39度の発熱では通常より多くのエネルギーが消費されます。

発熱に伴う発汗により、水分と電解質が失われます。また、食欲不振により栄養摂取が不十分になることも多く、体力が急速に消耗していきます。

高齢者や基礎疾患のある方では、この体力消耗が重大な問題となる可能性があります。心臓や肺への負担も増すため、注意が必要です。

脱水のリスク

39度の高熱では、発汗が多くなり、呼吸も速くなることで、通常より多くの水分が失われます。1時間あたり50〜100ml程度の水分が余分に失われるとされています。

脱水が進むと、口の渇き、尿量の減少、尿の色が濃くなる、皮膚の弾力性が低下する、意識がもうろうとするなどの症状が現れます。

脱水は、発熱をさらに悪化させ、また臓器障害のリスクも高めます。高熱時には、積極的な水分補給が非常に重要です。

このように、39度の発熱は高熱と定義され、免疫反応が強く活性化している一方で、体力消耗や脱水のリスクが高まる状態とされています。

続いて、39度の発熱を引き起こす主な原因について見ていきましょう。

39度の発熱を引き起こす主な原因

39度の発熱を引き起こす主な原因としては、インフルエンザが最も代表的であり、新型コロナウイルス感染症、扁桃炎、肺炎などの感染症が考えられます。

インフルエンザ

インフルエンザは、39度以上の高熱を引き起こす最も典型的な疾患です。38度以上、多くの場合39〜40度の高熱が急激に出現し、同時に全身の関節痛や筋肉痛、強い倦怠感が現れます。

インフルエンザの特徴は、症状の急激な発症です。朝は元気だったのに、昼過ぎには高熱と強い全身症状で動けなくなるという経過をたどります。

咳や鼻水などの呼吸器症状は、発症初期にはあまり目立たず、発熱や全身症状が先行することが特徴です。抗インフルエンザ薬(オセルタミビル、ザナミビルなど)は、発症後48時間以内の投与が効果的です。

新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症でも、39度以上の高熱が出ることがあります。ただし、インフルエンザほど全身の関節痛や筋肉痛が顕著でないことも多いとされています。

発熱に加えて、咳、倦怠感、味覚・嗅覚障害などが特徴的な症状です。オミクロン株以降は、のどの痛みが強く出ることが多いとされています。

高齢者や基礎疾患のある方では重症化のリスクがあるため、39度以上の発熱がある場合は、医療機関に連絡して指示を仰ぐことが推奨されます。

扁桃炎・咽頭炎

扁桃炎、特に溶連菌(A群β溶血性レンサ球菌)による扁桃炎では、39度以上の高熱が出ることが多いとされています。

発熱に加えて、のどの強い痛みが特徴です。扁桃が赤く腫れ、白い膿が付着していることがあります。首のリンパ節も腫れて痛みを伴います。

溶連菌感染症は、抗生物質による治療が必要です。治療しないと、リウマチ熱や腎炎などの合併症を起こす可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。

肺炎

肺炎では、39度以上の高熱が出ることがあります。細菌性肺炎では、高熱に加えて、咳、黄色や緑色の痰、呼吸困難、胸痛などの症状を伴います。

高齢者では典型的な症状が出にくく、発熱や咳が目立たないこともあります。元気がない、食欲がない、意識がはっきりしないなどの症状しか見られない場合もあり、注意が必要です。

肺炎は重症化すると呼吸不全を起こす可能性があり、早期の診断と治療が重要です。抗生物質による治療が必要です。

その他の細菌感染

尿路感染症、特に腎盂腎炎では、39度以上の高熱が出ることがあります。排尿時痛、頻尿、腰や背中の痛みを伴うことが特徴です。女性に多い疾患ですが、男性でも起こります。

急性胆嚢炎や急性虫垂炎などの腹部感染症でも、高熱が出ることがあります。激しい腹痛を伴う場合は、緊急の対応が必要です。

敗血症は、細菌が血液中に入り込んで全身に広がった状態で、非常に危険です。高熱、悪寒、戦慄、血圧低下、意識障害などを伴います。緊急治療が必要です。

このように、39度の発熱を引き起こす主な原因はインフルエンザが最も代表的であり、新型コロナウイルス感染症、扁桃炎、肺炎など様々な感染症が考えられるとされています。

次に、39度の発熱ですぐ病院に行くべき症状について説明いたします。

39度の発熱ですぐ病院に行くべき症状

39度の発熱に加えて、呼吸困難、意識障害、水分が取れないなどの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診すべきです。

呼吸困難を伴う場合

39度の発熱に加えて、呼吸が苦しい、息切れがする、呼吸が速いなどの症状がある場合は、肺炎や重症感染症の可能性があり、速やかな受診が必要です。

会話をするのが苦しい、横になれない、呼吸の回数が異常に多い(成人で1分間に25回以上)などの症状は、重症のサインです。

唇や爪が紫色になっている場合は、酸素不足の状態であり、非常に危険です。救急車を呼ぶことが推奨されます。

意識障害がある場合

39度の発熱に伴い、意識がはっきりしない、呼びかけに反応しない、もうろうとしている、意味不明なことを言うなどの症状がある場合は、非常に危険な状態です。

髄膜炎、脳炎、敗血症、重度の脱水などの可能性があり、緊急の治療が必要です。救急車を呼ぶことが推奨されます。

小児では、インフルエンザ脳症の可能性もあります。異常行動(急に走り出す、飛び降りようとするなど)が見られた場合も、速やかな受診が必要です。

水分が取れない場合

39度の高熱で水分が失われている中、嘔吐や強い倦怠感により水分が全く取れない場合は、脱水が急速に進行するリスクがあります。

尿が半日以上出ない、尿の色が非常に濃い、口の中がカラカラに乾いている、皮膚の弾力性が低下している、立ち上がるとめまいがするなどは、脱水の兆候です。

脱水が進むと、意識障害や臓器障害を起こす可能性があり、点滴による水分補給が必要になります。早めの受診が推奨されます。

激しい痛みを伴う場合

39度の発熱に加えて、激しい頭痛と嘔吐、項部硬直(首が硬くて前に曲げられない)がある場合は、髄膜炎の可能性があります。これは非常に危険な状態で、緊急治療が必要です。

激しい胸痛がある場合は、肺炎、胸膜炎、心筋炎などの可能性があります。激しい腹痛がある場合は、急性腹症(急性虫垂炎、急性胆嚢炎など)の可能性があります。

これらの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診する、または救急車を呼ぶことが推奨されます。

乳幼児の場合

乳幼児、特に生後6ヶ月未満の乳児が39度以上の発熱をした場合は、昼夜を問わず速やかに医療機関を受診することが推奨されます。

乳幼児では、ぐったりしている、水分が取れない、けいれんを起こした、激しく泣き続ける、泣き声が弱いなどの症状がある場合は、特に緊急性が高いとされています。

乳幼児は症状を言葉で訴えることができないため、機嫌や活気、顔色などを注意深く観察することが重要です。

このように、39度の発熱に加えて、呼吸困難、意識障害、水分が取れない、激しい痛みを伴う場合、乳幼児の場合は、すぐに医療機関を受診すべきとされています。

続いて、39度の発熱への応急処置と対処法について見ていきましょう。

39度の発熱への応急処置と対処法

39度の発熱への対処法としては、解熱剤の使用、身体の冷却、積極的な水分補給が重要であり、体力の消耗を最小限に抑えることが大切です。

解熱剤の使用が推奨される理由

39度の高熱では、解熱剤の使用が推奨されます。38.5度以上の発熱で、症状が辛い場合に使用するという一般的な基準を明確に超えています。

解熱剤を使用する理由は、発熱による不快感を和らげることだけでなく、体力の消耗を防ぐためでもあります。39度の高熱では、多くのエネルギーが消費され、脱水も進みやすいため、解熱剤により体温を下げることが有益です。

市販の解熱鎮痛剤としては、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどがあります。使用方法や使用間隔については、添付文書を守ることが重要です。

ただし、インフルエンザが疑われる場合、アスピリンやジクロフェナクなどの一部の解熱鎮痛剤は、ライ症候群や脳症のリスクがあるため避けるべきとされています。特に小児では注意が必要です。

身体の冷やし方

39度の高熱では、身体を冷やすことで不快感を軽減できます。太い血管が通っている部位を冷やすと効果的です。

額、首の両側、脇の下、鼠径部(足の付け根)などに、冷やしたタオルや氷嚢を当てます。氷は直接皮膚に当てず、必ずタオルやガーゼで包んで使用します。

ただし、寒気がして震えている時は、身体が体温を上げようとしている段階です。この時は無理に冷やさず、むしろ温かくして、震えが止まるまで待つことが推奨されます。震えが止まり、熱が上がりきって暑く感じる時に冷やすと効果的です。

水分補給の重要性

39度の高熱では、脱水のリスクが非常に高くなります。積極的な水分補給が必須です。

経口補水液は、水分と電解質(ナトリウム、カリウムなど)をバランス良く補給できるため、高熱時に最適です。スポーツドリンクも使用できますが、糖分が多いため、水で薄めて飲むこともできます。

水、麦茶、お茶なども良いですが、電解質が含まれていないため、経口補水液やスポーツドリンクと組み合わせることが推奨されます。

1時間にコップ1〜2杯(200〜400ml)程度を目安に、少量ずつこまめに飲むことが大切です。一度に大量に飲むと、吐き気を催すことがあります。

適切な服装と室温

39度の高熱で身体が熱い時は、薄着にして熱がこもらないようにします。通気性の良い衣服を選び、汗をかいたらこまめに着替えることが大切です。

室温は20〜22度程度に保ち、暑すぎず寒すぎない環境を作ります。湿度は40〜60%程度が適切です。

厚着をして汗をかかせるという昔の方法は、現在では推奨されません。過度の発汗は脱水を悪化させ、体力を消耗させます。

このように、39度の発熱への対処法としては、解熱剤の使用、身体の冷却、積極的な水分補給が重要であり、適切な服装と室温管理も大切とされています。

次に、39度の発熱が続く期間と受診のタイミングについて説明いたします。

39度の発熱が続く期間と受診のタイミング

39度の発熱が続く期間は原因によって異なりますが、早期の受診により適切な診断と治療を受けることが重要です。

1日目の対応

39度の高熱が出た1日目は、まず解熱剤を使用して様子を見ることもできますが、以下のような場合は早めに受診することが推奨されます。

インフルエンザの流行期である、呼吸困難や胸痛などの重い症状を伴う、水分が取れない、基礎疾患がある、乳幼児や高齢者である、妊婦である場合などです。

健康な成人で、解熱剤が効いており、水分が取れている場合は、1日程度様子を見ることも可能ですが、症状が悪化する場合は速やかに受診が必要です。

2〜3日目の判断

39度の高熱が2〜3日続いている場合は、医療機関への受診が推奨されます。インフルエンザであっても、抗インフルエンザ薬は発症後48時間以内の投与が効果的であるため、早めの受診が重要です。

細菌感染症(肺炎、扁桃炎、尿路感染症など)の場合、抗生物質による治療が必要です。適切な治療を受けないと、症状が悪化したり合併症を起こしたりする可能性があります。

解熱剤を使用しても全く下がらない、または短時間で再上昇する場合も、より重篤な感染症の可能性があるため、受診が必要です。

インフルエンザ検査のタイミング

インフルエンザの検査は、発症後12〜24時間以降に行うと、より正確な結果が得られるとされています。発症直後は、ウイルス量が少なく偽陰性となる可能性があります。

ただし、抗インフルエンザ薬は発症後48時間以内の投与が効果的であるため、症状が強い場合は早めに受診することが重要です。検査結果が陰性でも、臨床症状からインフルエンザと診断され、治療が開始されることもあります。

抗生物質が必要な場合

細菌感染症が疑われる場合、抗生物質による治療が必要です。以下のような症状がある場合は、細菌感染の可能性が高くなります。

のどが非常に痛く、扁桃に白い膿が付着している(溶連菌感染症)、黄色や緑色の痰が出る(細菌性肺炎)、排尿時痛や頻尿がある(尿路感染症)、3日以上高熱が続く(ウイルス感染から細菌感染への移行の可能性)などです。

抗生物質は医師の処方が必要です。自己判断で使用したり、途中で中止したりすることは避けるべきです。

このように、39度の発熱が続く場合、1日目から受診を検討し、2〜3日続く場合は必ず受診して、インフルエンザ検査や抗生物質治療の必要性を判断してもらうことが重要とされています。

最後に、39度の発熱を予防するための日頃の対策について説明いたします。

39度の発熱を予防するための日頃の対策

39度の高熱を予防するためには、予防接種、免疫力の維持、感染予防策などの日頃の対策が重要です。

予防接種の重要性

インフルエンザワクチンは、インフルエンザによる高熱を予防する最も効果的な方法です。毎年秋頃に接種することが推奨されます。

インフルエンザワクチンは、感染を完全に防ぐことはできませんが、発症を予防したり、発症しても重症化を防いだりする効果があります。特に、高齢者や基礎疾患のある方、小児では接種が推奨されます。

新型コロナウイルス感染症ワクチンも、重症化を予防する効果があります。肺炎球菌ワクチンは、高齢者や基礎疾患のある方に推奨されており、肺炎による高熱を予防する効果があります。

免疫力の維持

免疫力を維持することで、感染症にかかりにくくなり、かかっても軽症で済む可能性が高まります。

十分な睡眠を取ることが重要です。睡眠不足は免疫力を低下させます。バランスの取れた食事を心がけ、タンパク質、ビタミン、ミネラルを十分に摂取することが推奨されます。

適度な運動も免疫力の維持に役立ちます。ただし、過度な運動は逆に免疫力を低下させることがあるため、適度な運動が大切です。

ストレスの管理も重要です。慢性的なストレスは免疫力を低下させるため、適切なストレス解消法を見つけることが推奨されます。

感染予防策

日常生活での感染予防策により、感染症のリスクを減らすことができます。

手洗いは最も基本的で効果的な感染予防策です。帰宅時、食事前、トイレの後などにこまめに手を洗うことが推奨されます。石鹸を使って30秒以上かけて丁寧に洗います。

マスクの着用も、感染症の流行期には有効です。特に、人混みや換気の悪い場所ではマスクを着用することが推奨されます。

適切な換気も重要です。室内にいる時は、定期的に窓を開けて換気を行い、ウイルスの濃度を下げることができます。

早期対応のポイント

発熱の初期段階で適切に対応することで、症状の悪化を防げる可能性があります。

体調不良を感じたら無理をせず、早めに休養を取ることが大切です。微熱の段階で十分な休養を取ることで、高熱に進行するのを防げることがあります。

水分補給をこまめに行い、栄養のあるものを食べることも重要です。また、人混みへの外出を避け、感染を広げないよう配慮することも大切です。

症状が悪化する前に、早めに医療機関に相談することで、適切な治療を受けることができます。特に、基礎疾患のある方や高齢者は、早期の相談が推奨されます。

このように、39度の高熱を予防するためには、予防接種、免疫力の維持、手洗いなどの感染予防策、早期の休養などの日頃の対策が重要とされています。


※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状や治療に関するご相談は、医療機関にご相談ください。

監修医師

理事長・院長
今村 英利
Imamura Eli

略歴

2014年10月神戸大学博士課程入学
2019年3月博士課程卒業医師免許取得
2019年4月赤穂市民病院
2021年4月亀田総合病院
2022年1月新宿アイランド内科クリニック院長
2023年2月いずみホームケアクリニック