40度の発熱は緊急事態?すぐ受診すべき理由と救急対応について

発熱

体温が40度になったとき、これは非常に危険な状態ではないかと不安になることでしょう。

このような超高熱は、身体に大きなダメージを与える可能性があり、緊急の対応が必要です。

すぐに救急車を呼ぶべきか、夜間でも救急外来を受診すべきか、判断を迫られることもあるでしょう。

このような超高熱は、重篤な感染症や合併症のリスクを示唆している可能性があります。

40度の発熱の危険性と、適切な救急対応について理解しておくことが極めて重要とされています。

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40度の発熱の危険性と緊急性

40度の発熱は超高熱と定義され、身体に重大なダメージを与えるリスクがあり、緊急の医療対応が必要な状態です。

超高熱の定義

医学的には、40度以上の発熱を超高熱と呼びます。この体温域は、身体にとって非常に危険な状態であり、緊急性が高いとされています。

通常、人間の体温調節機能は、38〜39度程度で上限に達することが多いため、40度という体温は、非常に強い炎症反応や、体温調節機能の破綻を示唆している可能性があります。

40度の発熱が数時間以上続くと、身体の様々な臓器に悪影響を及ぼす可能性があり、早急な対応が必要です。

身体へのダメージ

40度の超高熱は、身体に様々な悪影響を及ぼします。体温が1度上昇すると基礎代謝が約13%増加するとされており、40度では通常より約50%もエネルギー消費が増加します。

高熱により、脳機能が影響を受けることがあります。意識障害、せん妄(意識がもうろうとして混乱する状態)、けいれんなどが起こりやすくなります。

心臓への負担も大きくなり、頻脈(心拍数の増加)が起こります。高齢者や心疾患のある方では、心不全のリスクが高まります。

筋肉の破壊(横紋筋融解症)が起こることもあり、これにより腎機能障害を引き起こす可能性があります。

脱水・熱中症のリスク

40度の超高熱では、極度の発汗により急速に脱水が進行します。脱水により、血液が濃縮され、血栓症のリスクも高まります。

脱水が進むと、意識障害、臓器障害、ショック状態に陥る可能性があります。特に、高齢者や乳幼児では、脱水が急速に進みやすく注意が必要です。

また、熱中症では40度以上の体温が見られることがあります。熱中症は命に関わる緊急事態であり、速やかな冷却と医療対応が必要です。

合併症の危険

40度の超高熱は、様々な合併症のリスクを示唆します。

熱性けいれんは、特に小児で起こりやすく、40度以上の高熱では発症リスクが高まります。インフルエンザ脳症などの重篤な合併症では、高熱と意識障害、異常行動などが見られます。

敗血症(細菌が血液中に入り込んで全身に広がった状態)では、40度以上の高熱、悪寒、戦慄、血圧低下、意識障害などが見られ、非常に危険な状態です。

髄膜炎や脳炎などの中枢神経系の感染症でも、高熱と共に激しい頭痛、嘔吐、項部硬直、意識障害などが現れます。

このように、40度の発熱は超高熱と定義され、身体に重大なダメージを与え、脱水や合併症のリスクが非常に高く、緊急の医療対応が必要な状態とされています。

続いて、40度の発熱で救急受診が必要な症状について見ていきましょう。

40度の発熱で救急受診が必要な症状

40度の発熱がある時点で医療機関への受診が必要ですが、特に意識レベルの低下、けいれん、呼吸困難などの症状がある場合は救急車を呼ぶべきです。

意識レベルの低下

40度の発熱に伴い、以下のような意識レベルの低下が見られる場合は、非常に危険な状態です。

呼びかけに反応しない、反応が鈍い、もうろうとしている、意味不明なことを言う、場所や時間が分からない、ぼんやりしているなどの症状です。

意識障害は、脳炎、髄膜炎、敗血症、重度の脱水などを示唆している可能性があり、一刻を争う状態です。速やかに救急車を呼ぶことが推奨されます。

けいれん

40度の高熱に伴うけいれんは、特に小児で見られることがありますが、成人でも起こる可能性があります。

全身がガクガクと震える、意識を失う、白目をむく、口から泡を吹くなどの症状が見られます。けいれんが5分以上続く場合や、繰り返す場合は、特に危険です。

小児の熱性けいれんの多くは短時間で治まり予後良好ですが、長時間続く場合や、片側だけのけいれん、けいれん後も意識が戻らない場合は、重篤な疾患の可能性があります。

けいれんが起こった場合は、慌てず、横向きに寝かせて、嘔吐物が気道に入らないようにします。口の中に物を入れたり、身体を押さえつけたりしてはいけません。けいれんが治まっても、必ず医療機関を受診することが必要です。

呼吸困難

40度の発熱に加えて、呼吸が苦しい、呼吸が速い、肩で息をしている、会話ができないなどの症状がある場合は、重症肺炎、敗血症、呼吸不全などの可能性があります。

唇や爪が紫色になっている(チアノーゼ)場合は、酸素不足の状態であり、極めて危険です。速やかに救急車を呼ぶことが必要です。

呼吸の回数が異常に多い(成人で1分間に30回以上)、呼吸が浅い、胸が十分に膨らまないなども、呼吸困難のサインです。

脱水の重度症状

40度の超高熱では、脱水が急速に進行します。以下のような重度の脱水症状がある場合は、緊急の医療対応が必要です。

尿が半日以上全く出ない、口の中がカラカラに乾いている、皮膚をつまんで離しても元に戻らない(皮膚ツルゴールの著しい低下)、目が落ち窪んでいる、涙が出ない、立ち上がれない、血圧が低下しているなどです。

重度の脱水では、意識障害や臓器障害を起こす可能性があり、点滴による急速な水分補給が必要です。

救急車を呼ぶべき状況

以下のような状況では、自力で病院に行くことが困難または危険であるため、救急車を呼ぶことが推奨されます。

意識がない、呼びかけに反応しない、けいれんが止まらない、呼吸が止まっている、呼吸困難で話せない、胸を強く押さえて苦しんでいる、唇が紫色になっている、立つことができない、激しい頭痛で動けないなどです。

救急車を呼ぶ際は、40度以上の発熱があること、いつから熱があるか、他にどのような症状があるかを伝えることが重要です。

このように、40度の発熱では基本的に医療機関への受診が必要であり、特に意識レベルの低下、けいれん、呼吸困難、重度の脱水などがある場合は救急車を呼ぶべきとされています。

次に、40度の発熱を引き起こす重篤な疾患について説明いたします。

40度の発熱を引き起こす重篤な疾患

40度の発熱を引き起こす疾患としては、重症感染症、髄膜炎・脳炎、重症肺炎、熱中症などの緊急性の高い疾患が考えられます。

重症感染症

敗血症は、細菌が血液中に入り込んで全身に広がった状態で、非常に危険です。40度以上の高熱、悪寒、戦慄(ガタガタと震える)、血圧低下、頻脈、意識障害などが見られます。

敗血症は、肺炎、尿路感染症、腹部感染症などから進行することがあります。早急な抗生物質投与と集中治療が必要で、治療が遅れると多臓器不全に至る可能性があります。

重症インフルエンザでも、40度以上の高熱が出ることがあります。特に、小児や高齢者、基礎疾患のある方では重症化しやすく、肺炎や脳症などの合併症を起こす可能性があります。

髄膜炎・脳炎

髄膜炎は、脳や脊髄を覆っている髄膜に炎症が起こる疾患で、細菌性とウイルス性があります。細菌性髄膜炎は特に危険で、早急な治療が必要です。

40度以上の高熱、激しい頭痛、嘔吐、項部硬直(首が硬くて前に曲げられない)、意識障害、けいれんなどが主な症状です。

脳炎は、脳そのものに炎症が起こる疾患で、髄膜炎よりもさらに重篤です。高熱、意識障害、けいれん、異常行動、麻痺などの症状が見られます。

これらの疾患は、治療が遅れると生命に関わり、後遺症が残る可能性もあるため、疑われる場合は緊急の対応が必要です。

重症肺炎

重症の肺炎では、40度以上の高熱が出ることがあります。細菌性肺炎、特に肺炎球菌やレジオネラ菌による肺炎では、高熱と共に呼吸困難、胸痛、意識障害などが見られます。

重症肺炎では、呼吸不全により酸素投与や人工呼吸管理が必要になることがあります。敗血症を合併することもあり、集中治療が必要です。

高齢者や基礎疾患のある方、免疫力が低下している方では、肺炎が重症化しやすく、特に注意が必要です。

熱中症

熱中症は、高温環境下での活動や、体温調節機能の障害により、体温が異常に上昇する状態です。40度以上の体温、意識障害、けいれん、発汗の停止などが見られます。

熱中症は、命に関わる緊急事態です。速やかに身体を冷却し、医療機関に搬送する必要があります。熱中症が疑われる場合は、救急車を呼びながら、涼しい場所に移動し、衣服を緩めて身体を冷やします。

夏場の屋外活動だけでなく、室内でも熱中症は起こります。高齢者や小児、基礎疾患のある方では、比較的低い気温でも熱中症になる可能性があります。

その他の緊急疾患

川崎病は、小児に見られる疾患で、40度前後の高熱が5日以上続きます。両側の目の充血、唇の赤みやひび割れ、イチゴ舌、手足の腫れや紅斑、発疹、リンパ節の腫れなどを伴います。早期の診断と治療が重要です。

悪性症候群は、抗精神病薬などの薬剤の副作用で起こる疾患で、40度以上の高熱、筋硬直、意識障害などが見られます。非常に危険な状態で、原因薬剤の中止と集中治療が必要です。

このように、40度の発熱を引き起こす疾患には敗血症、髄膜炎・脳炎、重症肺炎、熱中症など、緊急性の高い重篤な疾患が多く含まれるとされています。

続いて、救急受診前の応急処置について見ていきましょう。

救急受診前の応急処置

40度の発熱がある場合、救急受診が必要ですが、受診前または救急車を待つ間に行うべき応急処置があります。

直ちに行うべき冷却方法

40度の超高熱では、体温を下げることが最優先です。以下の方法で身体を冷却します。

涼しい場所に移動する、衣服を緩めるまたは脱がせる、太い血管が通っている部位(首の両側、脇の下、鼠径部)を冷やす、可能であれば濡れたタオルで身体を拭く、扇風機やうちわで風を当てるなどの方法があります。

氷や保冷剤を使用する場合は、直接皮膚に当てず、必ずタオルで包んで使用します。冷やしすぎると血管が収縮し、かえって体温が下がりにくくなることがあります。

ただし、本人が寒気を感じている場合や、震えている場合は、無理に冷やさないことも重要です。

水分補給の試み

意識がはっきりしており、飲み込むことができる場合は、水分補給を試みます。経口補水液、スポーツドリンク、水などを少量ずつ与えます。

一度に大量に飲ませると、嘔吐を誘発する可能性があるため、スプーン1杯程度から始め、少しずつ飲ませます。

ただし、意識がもうろうとしている、嘔吐している、飲み込むことができない場合は、無理に水分を与えてはいけません。誤嚥(気道に入ってしまうこと)のリスクがあります。

絶対にやってはいけないこと

40度の発熱がある場合、以下のことは絶対に避けるべきです。

厚着をさせたり、布団を何枚もかけたりすること、アルコールで身体を拭くこと(皮膚から吸収され中毒を起こす可能性がある)、熱い風呂に入れること、氷水に浸けるなど急激に冷却すること(血管が収縮し、かえって体温が下がりにくくなる)、意識がはっきりしない人に無理に水や食べ物を与えることなどです。

また、解熱剤を持っている場合でも、意識障害がある、嘔吐しているなどの状態では、無理に服用させてはいけません。

救急車を待つ間の対応

救急車を呼んだ後、到着を待つ間も観察と対応を続けます。

呼吸の状態、意識のレベル、体温、脈拍などを観察し、変化があれば記録します。けいれんが起こった場合は、横向きに寝かせて、嘔吐物が気道に入らないようにします。

呼吸が止まっている場合は、可能であれば心肺蘇生を開始します。救急隊が到着したら、いつから発熱したか、最高体温は何度だったか、他にどのような症状があるか、持病や服用している薬、アレルギーの有無などを伝えます。

このように、40度の発熱がある場合、救急受診が必要ですが、受診前に身体を冷却し、可能であれば水分補給を試み、危険な行為を避けながら救急車を待つことが重要とされています。

次に、小児の40度発熱への特別な注意点について説明いたします。

小児の40度発熱への特別な注意点

小児が40度の発熱をした場合、熱性けいれん、インフルエンザ脳症、川崎病などのリスクがあり、大人以上に注意深い観察と迅速な対応が必要です。

熱性けいれんのリスク

熱性けいれんは、生後6ヶ月から5歳頃までの小児に見られ、38度以上の発熱に伴って起こるけいれんです。40度の高熱では、発症リスクがさらに高まります。

多くの熱性けいれんは、5分以内に自然に止まり、予後良好です。しかし、以下のような場合は、単純な熱性けいれんではなく、より重篤な疾患の可能性があります。

けいれんが15分以上続く、24時間以内に繰り返す、片側だけのけいれん、けいれん後も意識が戻らない、麻痺が残るなどです。

これらの場合は、髄膜炎、脳炎、てんかんなどの可能性があり、救急車を呼ぶことが推奨されます。

インフルエンザ脳症

インフルエンザ脳症は、インフルエンザに伴って起こる重篤な合併症で、主に小児に見られます。40度以上の高熱、意識障害、けいれん、異常行動(急に走り出す、飛び降りようとする、意味不明なことを言うなど)が特徴です。

インフルエンザ脳症は、発症から数時間で急激に悪化することがあり、生命に関わる状態です。後遺症が残る可能性も高く、早急な治療が必要です。

インフルエンザの流行期に、40度以上の高熱と異常行動が見られた場合は、すぐに救急車を呼ぶことが推奨されます。

川崎病などの可能性

川崎病は、全身の血管に炎症が起こる疾患で、主に4歳以下の小児に見られます。40度前後の高熱が5日以上続くことが特徴です。

発熱に加えて、両側の目の充血、唇の赤みやひび割れ、舌がイチゴのように赤くなる、手足の腫れや紅斑、発疹、首のリンパ節の腫れなどの症状を伴います。

川崎病は、治療が遅れると心臓の冠動脈に障害を起こす可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。

解熱剤の使用注意

小児に解熱剤を使用する際は、種類に注意が必要です。アセトアミノフェンまたはイブプロフェンが推奨されます。

アスピリンやジクロフェナクなどは、インフルエンザなどのウイルス感染症に使用すると、ライ症候群や脳症のリスクがあるため、小児には使用すべきではありません。

また、40度の高熱がある場合は、解熱剤を使用するだけでなく、必ず医療機関を受診することが重要です。

座薬の使い方

小児では、経口の解熱剤が飲めない場合に、座薬(坐薬)が使用されることがあります。

座薬を使用する際は、以下の点に注意します。冷蔵庫で保管されている場合は、少し手で温めてから使用する、斜めに挿入し、奥まで入れる、挿入後、しばらく押さえて抜けないようにするなどです。

座薬を使用しても、40度の高熱が続く場合や、他の症状がある場合は、医療機関への受診が必要です。

このように、小児が40度の発熱をした場合、熱性けいれん、インフルエンザ脳症、川崎病などのリスクがあり、解熱剤の使用にも注意が必要で、迅速な医療対応が重要とされています。

最後に、40度の発熱後の経過観察と注意点について説明いたします。

40度の発熱後の経過観察と注意点

40度の発熱が下がった後も、合併症の早期発見、体力回復のケア、再発熱への対応など、継続的な観察と注意が必要です。

解熱後も続く観察

40度の超高熱から解熱した後も、安心せずに経過を観察することが重要です。体温を定期的に測定し、再び上昇しないか確認します。

全身状態も注意深く観察します。意識がはっきりしているか、会話ができるか、食事や水分が取れるか、尿が出ているかなどを確認します。

解熱したからといって、すぐに通常の活動に戻ることは避けるべきです。40度の高熱により、身体は大きなダメージを受けており、回復には時間が必要です。

合併症の早期発見

40度の超高熱の後には、様々な合併症が起こる可能性があります。

肺炎などの細菌感染の合併、脱水による腎機能障害、横紋筋融解症による筋肉や腎臓のダメージ、電解質異常、心筋炎などです。

以下のような症状が見られた場合は、合併症の可能性があるため、速やかに医療機関に連絡することが必要です。咳が悪化する、呼吸が苦しい、胸が痛い、尿が出ない、尿の色が濃い(茶色やコーラ色)、全身の筋肉が痛い、動悸がする、むくみが出るなどです。

体力回復のケア

40度の超高熱からの回復には、十分な休養と栄養が必要です。解熱後も、数日間は無理をせず、自宅で安静にすることが推奨されます。

水分補給を継続し、電解質(ナトリウム、カリウムなど)も適切に補給します。経口補水液やスポーツドリンクが有用です。

食事は、最初は消化の良いものから始め、徐々に通常の食事に戻していきます。タンパク質やビタミンを十分に摂取することで、体力の回復が促進されます。

十分な睡眠も重要です。夜間の睡眠時間を確保し、必要に応じて昼寝もして、身体を休めます。

再発熱への対応

解熱後、数日して再び発熱することがあります。これは、細菌感染の合併や、別の感染症にかかった可能性があります。

再発熱があった場合は、医療機関を受診して、原因を調べることが必要です。抗生物質などの追加治療が必要になることがあります。

特に、解熱後に再び40度近い高熱が出た場合は、重篤な合併症の可能性もあるため、速やかな受診が推奨されます。

フォローアップ受診

40度の超高熱で医療機関を受診した場合、解熱後もフォローアップのための受診が指示されることがあります。

血液検査、尿検査、レントゲン検査などにより、合併症の有無や回復状態を確認します。指示された受診日には、必ず受診することが重要です。

特に、川崎病、髄膜炎、重症肺炎などの疾患では、解熱後も継続的な治療や経過観察が必要です。医師の指示に従って、適切なフォローアップを受けることが大切です。

このように、40度の発熱後も合併症の早期発見、体力回復のケア、再発熱への対応、フォローアップ受診など、継続的な観察と適切な対応が重要とされています。


※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状や治療に関するご相談は、医療機関にご相談ください。

監修医師

理事長・院長
今村 英利
Imamura Eli

略歴

2014年10月神戸大学博士課程入学
2019年3月博士課程卒業医師免許取得
2019年4月赤穂市民病院
2021年4月亀田総合病院
2022年1月新宿アイランド内科クリニック院長
2023年2月いずみホームケアクリニック