発熱は何度から?体温の基準と熱が上がった際の適切な対処法について

発熱

体温が高いと感じた時、何度から発熱と考えるべきか迷われたことはないでしょうか。

解熱剤を使うタイミングや、医療機関を受診する基準について知りたいと思われることもあるでしょう。

体温計で測った数値が微妙な場合、どう判断すればよいか悩むこともあるかもしれません。

この基準を知っておくことは、適切な対処や受診のタイミングを判断する上で役立ちます。

体温の正常範囲と発熱は何度からなのかについて、正しい知識を持つことが大切とされています。

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発熱は何度からと定義されるの?

発熱は一般的に37.5度以上と定義されることが多いですが、個人の平熱や測定部位によって判断が異なる場合があります。

一般的な発熱の定義

医学的には、脇の下で測定した体温が37.5度以上の場合を発熱と定義することが一般的です。これは多くの医療機関や教科書で採用されている基準です。

ただし、この基準は絶対的なものではなく、個人の平熱や状況によって判断が変わることがあります。平熱が低い方では、37度台前半でも身体の不調を感じることがあります。

世界保健機関(WHO)も、38度以上を発熱としていますが、日本の医療現場では37.5度以上を一つの目安としています。

平熱との関係

平熱は個人差が大きく、一般的に36.0〜37.0度の範囲とされていますが、これより低い方も高い方もいます。自分の平熱を把握しておくことが、発熱の判断に重要です。

平熱より1度以上高い場合は、発熱と判断できることが多いとされています。例えば、平熱が35.5度の方が36.8度になった場合、37.5度には達していなくても、その方にとっては発熱している可能性があります。

普段から健康な時の体温を測っておくことで、いざという時に適切な判断ができます。

測定部位による違い

体温は、測定する部位によって値が異なります。脇の下(腋窩)、口腔、耳、直腸など、様々な部位で測定できますが、それぞれ温度が異なります。

一般的に、直腸温が最も高く、次いで口腔温、耳温、脇の下温の順に低くなります。脇の下での測定が最も低い値を示すとされています。

発熱の基準である37.5度は、脇の下での測定を前提としています。他の部位で測定した場合は、この基準をそのまま適用できないことがあります。

微熱、高熱の基準

発熱の程度によって、呼び方が変わります。37.5〜38.0度未満を微熱、38.0度以上を発熱または高熱と呼ぶことが一般的です。

さらに、38.0〜39.0度未満を中等度の発熱、39.0度以上を高熱と分類することもあります。ただし、これらの分類も施設や文献によって若干異なる場合があります。

発熱の程度は、重症度を必ずしも反映するわけではありません。微熱でも重篤な疾患が隠れていることもあれば、高熱でも軽快する感染症もあります。

このように、発熱は一般的に37.5度以上と定義されますが、個人の平熱や測定部位を考慮した判断が重要とされています。

続いて、発熱の定義が重要な理由と体温の正常範囲について見ていきましょう。

発熱の定義が重要な理由と体温の正常範囲

発熱の定義を知ることは、受診や治療の判断基準となり、解熱剤の使用タイミングを判断する上でも重要とされています。

受診や治療の判断基準

発熱の基準を知っておくことで、医療機関を受診すべきかどうかの判断に役立ちます。多くの医療機関では、37.5度以上の発熱がある場合、感染症の可能性を考慮して対応します。

特に、新型コロナウイルス感染症の流行以降、発熱は感染症のスクリーニングにおいて重要な指標となっています。医療機関や施設によっては、37.5度以上の発熱がある場合に入館制限を設けていることもあります。

学校や職場でも、発熱を欠席や出勤停止の基準としていることが多く、37.5度という数値が社会的な基準として機能しています。

解熱剤使用の目安

解熱剤をいつ使用するかの判断にも、体温の数値が参考になります。一般的には、38.5度以上の発熱があり、辛い症状がある場合に解熱剤の使用が検討されます。

ただし、体温の数値だけでなく、全身状態や症状の辛さも考慮して判断することが重要です。38度以下でも非常に辛い場合や、39度以上でも比較的元気な場合もあり、一律に数値だけで判断するものではありません。

小児の場合は、医師や薬剤師の指示に従って、適切なタイミングで解熱剤を使用することが推奨されます。

個人差と平熱の把握の重要性

体温には大きな個人差があり、平熱が35度台の方もいれば、37度近い方もいます。自分の平熱を把握しておくことで、発熱かどうかの判断がより正確になります。

平熱を知るためには、健康な時に朝、昼、夕、就寝前など複数回測定し、自分の体温のパターンを把握することが推奨されます。数日間記録することで、より正確な平熱の範囲が分かります。

子どもの場合も、健康な時の体温を定期的に測って記録しておくと、発熱時の判断に役立ちます。

体温の日内変動

体温は1日の中で変動します。一般的に、早朝が最も低く、夕方から夜にかけて最も高くなる傾向があります。この変動幅は、通常0.5〜1.0度程度とされています。

朝は36.2度だったのに夕方に37.3度になった場合、日内変動の範囲内である可能性もあります。時間帯による変動を考慮して、発熱かどうかを判断することも重要です。

また、女性では月経周期により体温が変動します。排卵後から次の月経までは基礎体温が高くなる傾向があり、これは正常な生理的変動です。

このように、発熱の定義を知ることは受診や治療の判断基準となり、個人の平熱や日内変動を把握することも重要とされています。

次に、体温の正しい測り方と測定部位による違いについて説明いたします。

体温の正しい測り方と測定部位による違い

体温を正確に測るためには、脇の下での適切な測定方法を守ることが重要であり、測定部位によって基準値が異なることも理解しておく必要があります。

脇の下での測定方法

日本で最も一般的な測定部位は脇の下(腋窩)です。正確に測定するためには、いくつかのポイントがあります。

体温計の先端を脇の下の中央、最もくぼんだ部分に当てます。下から斜め上に向けて、身体に対して約30度の角度で挟むようにします。腕を身体に密着させ、軽く押さえて固定します。

測定中は動かず、安静にしていることが重要です。運動直後や入浴直後は体温が高くなっているため、10〜15分程度休んでから測定することが推奨されます。

電子体温計を使用する場合は、表示される温度が安定するまで、または終了音が鳴るまで測定を続けます。予測式の体温計でも、可能であれば実測まで測定する方がより正確です。

口腔、耳、直腸での測定

口腔温は、体温計を舌の下に入れ、口を閉じて測定します。脇の下での測定より約0.3〜0.5度高い値を示すとされています。飲食直後は正確な値が得られないため、避ける必要があります。

耳式体温計は、鼓膜の近くの温度を赤外線で測定します。測定が数秒で完了するため、小さな子どもにも使いやすいとされています。ただし、耳垢が多い場合や、正しい角度で測定できていない場合は、正確な値が得られないことがあります。

直腸温は、最も正確に中核温(身体の中心部の温度)を反映するとされていますが、測定には専用の体温計が必要で、一般家庭での測定は推奨されません。脇の下での測定より約0.5〜1.0度高い値を示します。

測定部位による温度差

測定部位によって体温が異なるため、発熱の基準も変わります。一般的な温度の関係は、直腸温>口腔温>耳温>脇の下温の順です。

脇の下で37.5度の場合、口腔では約37.8〜38.0度、直腸では約38.0〜38.5度に相当する可能性があります。測定部位が異なる場合、単純に数値を比較することはできません。

非接触型の額で測る体温計も普及していますが、測定条件により誤差が大きくなることがあります。スクリーニングには便利ですが、正確な体温を知りたい場合は、脇の下や口腔での測定が推奨されます。

正確に測るためのポイント

正確な体温測定のためには、以下の点に注意することが重要です。

同じ条件で測定することを心がけます。毎回同じ時間帯、同じ測定部位、同じ体温計を使用することで、比較しやすくなります。

汗をかいている場合は、脇の下の汗を拭いてから測定します。濡れたままでは正確な値が得られません。

衣服は薄着の状態で測定することが推奨されます。厚着をしていると、体温が高めに出ることがあります。

体温計は定期的に動作確認を行い、バッテリーが十分にあることを確認します。古い体温計や電池が弱っている場合、正確な測定ができないことがあります。

このように、体温を正確に測るためには脇の下での適切な測定方法を守ることが重要であり、測定部位による温度差も理解しておく必要があります。

続いて、何度から解熱剤を使用すべきかについて見ていきましょう。

何度から解熱剤を使用すべきか

解熱剤の使用は一般的に38.5度以上が一つの目安とされていますが、体温の数値だけでなく症状の辛さも考慮して判断することが重要です。

解熱剤使用の基準

解熱剤をいつ使用するかについては、明確な基準があるわけではありませんが、一般的には38.5度以上の発熱があり、辛い症状がある場合に使用が検討されます。

この基準の背景には、発熱は身体の免疫反応の一部であり、適度な発熱は病原体と闘うのに有利に働くという考えがあります。むやみに熱を下げることが、必ずしも良いとは限りません。

ただし、高熱により水分が取れない、眠れない、非常に辛いなどの場合は、38.5度以下でも解熱剤の使用を検討することがあります。

38.5度以上が一つの目安

多くの医療機関や医薬品の添付文書では、38.5度以上を解熱剤使用の一つの目安としています。これは、38.5度以上になると、発熱による不快感や体力の消耗が大きくなることが多いためです。

小児の場合も、日本小児科学会などは、38.5度以上で辛そうな場合に解熱剤の使用を検討することを推奨しています。

ただし、これはあくまで目安であり、絶対的な基準ではありません。37度台でも非常に辛い場合や、39度以上でも比較的元気な場合もあり、個々の状況に応じた判断が必要です。

症状の辛さも考慮

解熱剤の使用を判断する際は、体温の数値だけでなく、全身状態や症状の辛さを総合的に考慮することが重要です。

高熱でも、水分が取れて眠れており、比較的元気であれば、必ずしも解熱剤を使用する必要はないとされています。逆に、37度台の発熱でも、頭痛や関節痛が強く、非常に辛い場合は、解熱剤の使用が検討されることがあります。

小児の場合、機嫌が良く、水分が取れて遊べているようであれば、高熱でも慌てて解熱剤を使用する必要はないことが多いとされています。

解熱剤の種類と使い方

解熱剤には、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなど、様々な種類があります。それぞれ効果や副作用のプロフィールが異なります。

小児にはアセトアミノフェンが第一選択とされることが多く、イブプロフェンも使用されます。成人では、これらに加えてロキソプロフェンなども使用されます。

解熱剤の使用間隔や1日の使用回数には制限があります。アセトアミノフェンは通常4〜6時間以上の間隔を空け、1日の総量を守ることが重要です。使用方法については、添付文書や医師・薬剤師の指示に従うことが大切です。

解熱剤は一時的に熱を下げるだけで、原因を治療するものではありません。解熱剤を使用しても症状が続く場合や悪化する場合は、医療機関の受診が必要です。

このように、解熱剤の使用は38.5度以上が一つの目安ですが、体温の数値だけでなく全身状態や症状の辛さを総合的に判断することが重要とされています。

次に、発熱時の適切な対処法と注意点について説明いたします。

発熱時の適切な対処法と注意点

発熱時には水分補給と安静を基本とし、適切に身体を冷やしながら、無理な活動を避けることが重要です。

水分補給の重要性

発熱時には、発汗や呼吸により通常より多くの水分が失われます。脱水を防ぐために、こまめな水分補給が非常に重要です。

水、麦茶、経口補水液、スポーツドリンクなど、飲みやすいものを少量ずつ頻繁に摂取することが推奨されます。一度に大量に飲むよりも、少量をこまめに飲む方が吸収されやすいとされています。

食欲がない場合でも、水分だけは必ず摂取するよう心がけることが大切です。特に、高齢者や乳幼児は脱水になりやすいため、注意が必要です。

尿の色が濃くなっている、尿の量が少ない、口の中が乾いているなどの症状がある場合は、脱水の兆候です。このような場合は、より積極的な水分補給が必要です。

安静と休養

発熱時は、身体がウイルスや細菌と闘っている状態です。無理をせず、十分な休養を取ることが回復を早めます。

できるだけ安静にし、睡眠を十分に取ることが推奨されます。身体を休めることで、免疫機能が効率的に働き、回復が促進されます。

学校や仕事は無理をせず休むことが大切です。無理に活動すると、症状が長引いたり、悪化したりする可能性があります。また、感染症の場合は、他の人に感染を広げるリスクもあります。

冷やし方のポイント

発熱時に身体を冷やすことは、不快感を軽減する効果があります。ただし、冷やし方にはポイントがあります。

冷やすのは、太い血管が通っている部位が効果的です。額、首の両側、脇の下、鼠径部(足の付け根)などが推奨されます。氷嚢や冷却シート、冷やしたタオルなどを使用します。

ただし、冷やしすぎると血管が収縮し、かえって熱がこもることがあります。また、寒気を感じている時に無理に冷やすと、不快感が増すことがあります。

寒気がして震えている時は、身体が体温を上げようとしている段階です。この時は無理に冷やさず、むしろ温かくして、震えが止まるまで待つことが推奨されます。震えが止まり、熱が上がりきった後に冷やすと効果的です。

避けるべきこと

発熱時に避けるべきこともあります。

熱いお風呂に入ることは、体力を消耗させ、脱水を悪化させる可能性があるため避けるべきです。シャワーで軽く汗を流す程度なら問題ありませんが、長時間の入浴は控えることが推奨されます。

厚着をして汗をかかせることも、昔は良いとされていましたが、現在では推奨されません。過度の発汗は脱水を引き起こし、体力を消耗させます。適度な室温を保ち、薄着で過ごすことが推奨されます。

アルコールの摂取は、脱水を悪化させ、薬との相互作用もあるため避けるべきです。また、激しい運動や重労働も回復を遅らせる可能性があります。

このように、発熱時には水分補給と安静を基本とし、適切に冷やしながら、無理な活動や過度の保温を避けることが重要とされています。

最後に、発熱で医療機関を受診すべき体温とタイミングについて説明いたします。

発熱で医療機関を受診すべき体温とタイミング

発熱で医療機関を受診すべきタイミングは、体温の高さだけでなく、発熱の持続期間や他の症状、年齢などを総合的に判断することが重要です。

受診の目安となる体温

一般的に、38度以上の発熱が続く場合や、39度以上の高熱が出た場合は、医療機関への受診を検討することが推奨されます。

ただし、体温の数値だけでなく、全身状態も重要です。37度台の微熱でも、強い倦怠感、激しい頭痛、呼吸困難などの症状を伴う場合は、早めの受診が必要です。

発熱が3日以上続く場合も、医療機関への相談が推奨されます。通常の風邪であれば、2〜3日で熱が下がり始めることが多いとされています。

他の症状を伴う場合

発熱に加えて、以下のような症状がある場合は、早めの受診が推奨されます。

激しい頭痛、項部硬直(首が硬くなって前に曲げられない)、意識障害、けいれん、呼吸困難、胸痛、激しい腹痛、嘔吐や下痢が続く、血便、尿が出ない、発疹などです。

これらの症状は、重篤な疾患の可能性を示唆することがあります。特に、髄膜炎、肺炎、急性腹症などは早期の治療が重要です。

また、基礎疾患がある方(糖尿病、心疾患、呼吸器疾患など)は、発熱により基礎疾患が悪化するリスクがあるため、早めに医療機関に相談することが推奨されます。

年齢別の注意点

年齢によって、受診すべきタイミングが異なります。

生後3ヶ月未満の乳児が38度以上の発熱をした場合は、重篤な感染症の可能性があるため、速やかに医療機関を受診することが強く推奨されます。生後6ヶ月未満の乳児の発熱も、注意が必要です。

小児の場合、高熱でも機嫌が良く、水分が取れて尿が出ていれば、すぐに受診する必要がないこともあります。しかし、ぐったりしている、水分が取れない、尿が出ない、呼吸が苦しそうなどの症状があれば、速やかに受診が必要です。

高齢者は、感染症があっても高熱が出ないことがあります。微熱でも元気がない、食事が取れない、意識がはっきりしないなどの症状があれば、早めの受診が推奨されます。

緊急性が高い症状

以下のような症状がある場合は、緊急性が高く、速やかに医療機関を受診する、または救急車を呼ぶことが推奨されます。

意識障害(呼びかけに反応しない、もうろうとしている)、けいれんが続く、呼吸困難(息が苦しい、唇が紫色になる)、激しい頭痛と嘔吐、首が硬くなって前に曲げられない、胸痛、激しい腹痛、大量の出血などです。

乳幼児では、泣き声が弱い、ぐったりしている、水分が全く取れない、けいれんを起こした、呼吸が苦しそう、顔色が悪い(青白い、紫色)などの症状があれば、緊急受診が必要です。

夜間や休日に症状が出た場合、緊急性の判断に迷うことがあります。多くの自治体では、夜間の医療相談窓口や、小児救急電話相談(#8000)などが設けられています。判断に迷う場合は、これらを利用することも一つの方法です。

このように、発熱で医療機関を受診すべきタイミングは、体温の高さだけでなく、持続期間、他の症状、年齢などを総合的に判断し、緊急性が高い症状があれば速やかに受診することが重要とされています。


※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状や治療に関するご相談は、医療機関にご相談ください。

監修医師

理事長・院長
今村 英利
Imamura Eli

略歴

2014年10月神戸大学博士課程入学
2019年3月博士課程卒業医師免許取得
2019年4月赤穂市民病院
2021年4月亀田総合病院
2022年1月新宿アイランド内科クリニック院長
2023年2月いずみホームケアクリニック