アトピーにお茶は影響する?種類別の特徴と飲む際の注意点を解説

アトピー

アトピー性皮膚炎をお持ちの方の中には、お茶に含まれる成分が皮膚の状態に影響を与えるのではないかと考える方もいらっしゃるでしょう。

日常的に飲む習慣がある方は多く、種類や飲み方について気になることもあるかもしれません。

緑茶や紅茶、ハーブティーなど様々な種類があり、それぞれ含まれる成分や特徴が異なるとされています。

アトピーとお茶の関係について正しい知識を持ち、適切な選び方や飲み方を理解することで、日常生活での判断に役立てることが期待できます。

アトピー性皮膚炎へのお茶の影響は?

お茶に含まれるカフェインやタンニンが皮膚に影響を与える可能性がありますが、適量であれば過度に心配する必要はないとされています。

お茶の成分が皮膚に与える可能性のある影響

お茶には様々な成分が含まれており、その中でも特にカフェインとタンニン(カテキン)が注目されることが多いとされています。

カフェインは中枢神経を刺激する作用があり、覚醒効果をもたらす成分です。適量のカフェイン摂取は問題ありませんが、過剰摂取は睡眠の質を低下させる可能性があります。睡眠不足はアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる要因の一つとされているため、夜間のカフェイン摂取は控えることが推奨されます。

また、カフェインには利尿作用があり、体内の水分が失われやすくなる可能性があります。適切な水分摂取が行われていれば問題ありませんが、水分補給が不十分な場合には、皮膚の乾燥を招く可能性があるとされています。

タンニンはお茶に含まれるポリフェノールの一種で、抗酸化作用を持つとされています。緑茶に含まれるカテキンもタンニンの一種です。タンニンには鉄分の吸収を阻害する作用があるため、食事中や食後すぐにお茶を大量に飲むと、鉄分不足につながる可能性があります。鉄分不足は貧血を引き起こし、皮膚の健康にも影響を与える場合があるとされています。

お茶に含まれる他の成分として、テアニン、ビタミン、ミネラルなどがあります。これらの成分は健康に有益な面も多いとされており、適量であれば特に問題はないとされています。

温度による影響も考慮すべき点です。熱すぎるお茶を飲むことで、一時的に体温が上昇し、かゆみを感じやすくなる可能性があります。適度な温度で飲むことが推奨されます。

添加物にも注意が必要です。市販のペットボトルのお茶には、ビタミンCなどの酸化防止剤や、香料が含まれている場合があります。これらの添加物が、人によっては刺激となる可能性があるとされています。

個人差と症状の程度による違い

お茶が皮膚の状態に与える影響には、大きな個人差があります。多くの方は通常の量のお茶を飲んでも特に問題を感じませんが、体質や症状の程度により、注意が必要な場合もあります。

カフェインへの感受性には個人差があります。カフェインに敏感な方は、少量でも眠れなくなったり、動悸を感じたりする場合があります。また、カフェインの代謝能力も人により異なるため、同じ量を飲んでも体内に留まる時間が異なります。

症状の程度による違いも重要です。症状が比較的軽度で安定している方は、お茶による影響を受けにくい傾向がある一方、症状が重度の方や悪化している時期の方は、わずかな刺激でも症状に影響を与える可能性があります。

年齢による違いも考慮すべき点です。子どもは大人と比較してカフェインの影響を受けやすいため、カフェインを含むお茶の摂取には注意が必要とされています。

お茶の種類による違いもあります。同じ「お茶」でも、緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティー、麦茶などでは、含まれる成分が大きく異なります。ある種類のお茶では問題ないが、別の種類では症状に影響を感じるという方もいらっしゃいます。

飲む量や頻度による違いも重要です。1日に1〜2杯程度であれば問題ない方でも、大量に飲むと影響を感じる場合があります。

お茶に含まれるカフェインやタンニンが影響を与える可能性がありますが、個人差が大きく適量であれば問題ないとされています。

お茶の種類により含まれる成分が異なるため、次にそれぞれの特徴について見ていきましょう。

お茶の種類別の特徴とアトピー肌への影響

緑茶や紅茶はカフェインを含むため注意が必要で、麦茶やハーブティーはカフェインレスで比較的安心とされています。

カフェインを含むお茶の注意点

緑茶は日本で最も一般的なお茶の一つです。カフェインとカテキンを含み、カフェイン含有量は100mlあたり約20mg程度とされています。煎茶、玉露、抹茶など種類により含有量は異なり、特に玉露は高濃度のカフェインを含むため注意が必要です。

緑茶に含まれるカテキンには抗酸化作用があり、健康に有益な面も多いとされています。ただし、タンニンによる鉄分吸収阻害作用があるため、食事と一緒に大量に飲むことは避けることが推奨されます。

紅茶もカフェインを含むお茶です。カフェイン含有量は100mlあたり約30mg程度で、緑茶よりやや多いとされています。紅茶にもタンニンが含まれており、鉄分の吸収を阻害する可能性があります。

紅茶には様々なフレーバーがあり、アールグレイなど香料を添加したものもあります。香料が刺激となる場合もあるため、無香料のものを選ぶことも一つの方法です。

ウーロン茶は半発酵茶で、緑茶と紅茶の中間的な特徴を持ちます。カフェイン含有量は100mlあたり約20mg程度とされています。カフェインとタンニンを含むため、緑茶や紅茶と同様の注意点があります。

コーヒーと比較すると、お茶のカフェイン含有量は少なめです。コーヒーは100mlあたり約60mg程度のカフェインを含むため、お茶の方がカフェイン摂取量を抑えられるとされています。

カフェインを含むお茶を飲む際の注意点として、1日の摂取量に気をつけることが重要です。一般的に、成人の場合、1日のカフェイン摂取量は400mg以下が目安とされていますが、アトピー性皮膚炎の方や睡眠に影響を受けやすい方は、さらに控えめにすることが推奨されます。

夜間の摂取は避けることも大切です。カフェインは摂取後約4〜6時間は体内に留まるため、就寝の4〜6時間前からはカフェインを含むお茶の摂取を控えることが推奨されます。

カフェインレスのお茶の選び方

麦茶はカフェインを含まないお茶で、アトピー性皮膚炎の方にも比較的安心して飲めるとされています。ミネラルを含み、特に夏場の水分補給に適しています。温かくても冷たくても飲めるため、一年を通じて利用できます。

市販の麦茶には、砂糖や香料が添加されているものもあります。無添加の麦茶を選ぶか、麦茶パックを使って自分で煮出すことで、余計な成分を避けることができます。

ハーブティーもカフェインを含まないものが多く、種類も豊富です。カモミールティー、ルイボスティー、ローズヒップティーなど、様々な種類があります。

カモミールティーはリラックス効果があるとされ、就寝前に飲むのに適しています。ただし、キク科の植物にアレルギーがある方は注意が必要です。

ルイボスティーは南アフリカ原産のハーブティーで、ミネラルを豊富に含むとされています。カフェインを含まず、タンニンも少ないため、子どもでも飲みやすいお茶です。

ローズヒップティーはビタミンCを豊富に含むとされています。酸味が強いため、好みが分かれる場合があります。

ハーブティーを選ぶ際の注意点として、香りが強いものは人によっては刺激となる場合があります。初めて飲むハーブティーは、少量から試してみることが推奨されます。

また、ハーブの中には、特定の薬との相互作用がある場合や、妊娠中・授乳中には避けるべきものもあります。持病がある方や薬を服用している方は、ハーブティーを飲む前にご相談いただくことが推奨されます。

そば茶、とうもろこし茶、黒豆茶なども、カフェインを含まないお茶として選択肢に入ります。これらもミネラルを含み、香ばしい風味が楽しめます。

デカフェ(カフェインレス)の緑茶や紅茶も市販されています。特殊な処理によりカフェインを除去したもので、通常の緑茶や紅茶の風味を楽しみながら、カフェインの摂取を抑えることができます。

緑茶や紅茶はカフェインを含むため摂取量に注意が必要で、麦茶やハーブティーはカフェインレスで適しています。

お茶の種類を理解した上で、次に飲む際の具体的な注意点について説明いたします。

アトピー性皮膚炎の方がお茶を飲む際の注意点

アトピー性皮膚炎の方は、お茶を飲む際には、適量を守り熱すぎる温度を避け水分補給も併せて行うことが推奨されます。

適量の目安について、お茶の適量は個人の体質や症状の状態により異なりますが、一般的な目安として、カフェインを含むお茶は1日2〜3杯程度が推奨されます。これは湯呑み1杯を約150mlとした場合の目安です。

カフェインレスのお茶であれば、特に制限はありませんが、水分補給の全てをお茶に頼るのではなく、水も併せて飲むことが推奨されます。

飲むタイミングについて、カフェインを含むお茶は、午後3時以降は控えることが望ましいとされています。夜間の睡眠に影響を与えないためです。

食事中や食後すぐにお茶を大量に飲むことは、鉄分の吸収を阻害する可能性があるため、食間に飲むことが推奨されます。ただし、1杯程度であれば問題ないとされています。

温度にも注意が必要です。熱すぎるお茶は、体温を上昇させ、かゆみを引き起こす可能性があります。適度に冷ましてから飲むか、ぬるめの温度で飲むことが推奨されます。

逆に、冷たすぎるお茶も胃腸に負担をかける場合があります。常温または人肌程度の温度が理想的とされています。

避けるべきお茶の種類として、香料や着色料が添加されたお茶は避けることが推奨されます。これらの添加物が、人によっては刺激となる可能性があります。

砂糖が多く含まれる甘いお茶も注意が必要です。ペットボトルの緑茶や紅茶の中には、飲みやすくするために砂糖が添加されているものもあります。過剰な糖分摂取は炎症を促進する可能性があるため、無糖のものを選ぶことが推奨されます。

症状への影響が少ないとされるお茶

アトピー性皮膚炎の方に比較的適しているとされるお茶として、麦茶が挙げられます。カフェインを含まず、ミネラルを補給でき、刺激も少ないため、日常的な水分補給に適しています。

ルイボスティーも選択肢の一つです。カフェインを含まず、抗酸化作用のあるポリフェノールを含むとされています。

カモミールティーは、リラックス効果があり、就寝前に飲むのに適しています。ただし、キク科のアレルギーがある方は避ける必要があります。

白湯も見逃せない選択肢です。お茶ではありませんが、余計な成分を含まず、体を温める効果もあるため、皮膚の健康維持に役立つとされています。

お茶を飲む際の工夫

お茶を飲む際の工夫として、濃さを調整することが有効です。濃いお茶はカフェインやタンニンの含有量も多くなるため、薄めに淹れることで摂取量を抑えることができます。

ブレンドするという方法もあります。カフェインを含むお茶とカフェインレスのお茶を混ぜることで、味を楽しみながらカフェイン摂取量を減らすことができます。

水分補給を併せて行うことも重要です。お茶だけでなく、水もしっかり飲むことで、体内の水分バランスを保つことができます。1日に1.5〜2リットル程度の水分摂取が推奨されますが、お茶と水を合わせてこの量を確保することが理想的です。

保湿を忘れないことも大切です。水分補給は内側からのケアですが、外側からの保湿も同様に重要です。お茶を飲むだけでなく、保湿剤を使用した日常的なスキンケアを継続することが推奨されます。

適量を守り、熱すぎる温度を避け、水分補給も併せて行うことが重要です。

お茶以外の飲み物についても知っておくことが役立つので、それらについて見ていきましょう。

お茶以外でアトピーで注意すべき飲み物と適切な水分補給

アトピー性皮膚炎の方は、カフェインや糖分の多い飲み物は控え、水や麦茶を中心とした水分補給が推奨されます。

避けるべき飲み物の種類

コーヒーは、お茶よりもカフェイン含有量が多い飲み物です。1杯(約150ml)あたり約90mgのカフェインを含むため、過剰摂取には注意が必要です。カフェインによる睡眠への影響や利尿作用に気をつける必要があります。

エナジードリンクは、高濃度のカフェインと大量の糖分を含む場合が多く、アトピー性皮膚炎の方には推奨されません。短時間に大量のカフェインを摂取することで、体への負担が大きくなる可能性があります。

清涼飲料水や炭酸飲料も注意が必要です。多くの清涼飲料水には、大量の糖分が含まれています。500mlのペットボトル1本に、角砂糖10個分以上の糖分が含まれている製品もあります。

過剰な糖分摂取は、血糖値の急激な上昇と下降を招き、体への負担となります。また、炎症を促進する可能性もあるとされています。

人工甘味料を使用したゼロカロリー飲料も、人によっては刺激となる場合があります。人工甘味料の種類により、合う合わないがあるため、注意が必要です。

アルコール飲料については、前述の通り、血管拡張や体温上昇によりかゆみを増強させる可能性があるため、注意が必要です。

栄養ドリンクにも注意が必要です。カフェインや糖分のほか、様々な添加物が含まれている場合があります。

アトピー肌に適した水分補給方法

最も推奨される飲み物は、水です。余計な成分を含まず、体に負担をかけずに水分補給ができます。常温または白湯で飲むことで、胃腸への負担も軽減できます。

水道水を飲む場合、塩素が気になる方は、一度沸騰させてから冷ますか、浄水器を使用することも一つの方法です。ミネラルウォーターを利用する場合は、硬水よりも軟水の方が体への負担が少ないとされています。

麦茶は、カフェインを含まず、ミネラルも補給できるため、水の次に推奨される飲み物です。自宅で煮出して作ることで、添加物を避けることができます。

ルイボスティーやカモミールティーなどのハーブティーも、カフェインレスで水分補給に適しています。

水分補給のタイミングとして、喉が渇いてから飲むのではなく、こまめに少量ずつ飲むことが推奨されます。1回に大量に飲むのではなく、1〜2時間おきにコップ1杯程度を飲むイメージです。

起床時、食事の前後、運動後、入浴後などは、特に水分補給が必要なタイミングです。これらのタイミングでは、意識的に水分を摂取することが推奨されます。

水分補給の量の目安として、1日に1.5〜2リットル程度が推奨されますが、季節や活動量により調整が必要です。夏場や運動をした日には、より多くの水分補給が必要となります。

尿の色を確認することも、水分補給が十分かどうかを判断する一つの方法です。薄い黄色であれば適切な水分補給ができていると考えられます。濃い黄色の場合は、水分不足の可能性があります。

適切な水分補給は、皮膚の水分保持能力を保ち、乾燥を防ぐために重要です。ただし、水分補給だけでなく、保湿剤を使用した外側からのケアも同様に重要とされています。

カフェインや糖分の多い飲み物は控え、水や麦茶を中心とした水分補給が推奨されます。

お茶や飲み物により症状が変化した場合の対処法について、最後に説明いたします。

お茶を飲んで症状が悪化した場合の対処法と受診のタイミング

アトピーへの症状悪化時は水分補給と保湿を行い、症状が続く場合は早めにご相談ください。

応急的なケア方法として、お茶を飲んで症状が悪化したと感じた場合には、まずそのお茶の摂取を中止することが重要です。どの種類のお茶で症状が変化したかを記録しておくと、今後の参考になります。

水分補給をしっかり行うことも重要です。水や麦茶など、刺激の少ない飲み物を飲むことで、体内の水分バランスを整えることができます。

保湿剤をしっかり塗布することも効果的です。かゆみが強い部位や乾燥している部位に、念入りに保湿剤を塗ります。医師から処方されている外用薬がある場合には、指示通りに使用します。

かゆみが強くても掻かないように注意することが重要です。掻いてしまうと皮膚を傷つけ、症状をさらに悪化させます。

早期受診が必要な症状として、お茶を飲んだ後に以下のような症状が現れた場合には、早めに医療機関を受診することが推奨されます。広範囲に強い赤みや腫れが出現した場合、かゆみが非常に強く、日常生活に支障をきたす場合、掻破により皮膚が傷ついている場合などです。

呼吸困難、めまい、吐き気、全身の蕁麻疹などの症状が現れた場合には、アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応の可能性もあるため、直ちに医療機関を受診するか、救急車を呼ぶことが必要です。

数日経っても症状が改善しない場合や、症状が徐々に悪化している場合にも、受診が推奨されます。

日常的な症状管理として、お茶による症状変化を経験した場合には、今後のお茶の選び方や飲み方を見直すことが重要です。どのような種類のお茶で、どれくらいの量を飲んだ時に症状が変化したかを記録しておくと、パターンを把握するのに役立ちます。

症状が安定している時期を維持するために、日常的なスキンケアを継続することが最も重要です。保湿を中心とした基本的なケアを怠らず、医師から処方された薬を適切に使用することで、症状の悪化を防ぐことができます。

十分な睡眠を取ることも、症状の安定に重要な要素です。カフェインを含むお茶を夜間に飲むことで睡眠の質が低下している場合には、飲む時間帯を見直すか、カフェインレスのお茶に切り替えることが推奨されます。

お茶との付き合い方の見直しとして、特定のお茶で必ず症状が悪化する場合には、そのお茶を避けることが確実な対策です。代わりに、麦茶やハーブティーなど、カフェインを含まないお茶を選ぶことで、水分補給を楽しみながら症状悪化を避けることができます。

お茶は適量であれば過度に心配する必要はありませんが、個人の体質や症状の状態により、適したお茶の種類や量は異なります。ご自身の体調や皮膚の状態を観察しながら、適切なお茶を選び、適量を守ることが重要です。

定期的に医療機関を受診し、症状の経過や生活習慣について相談することで、より適切な管理方法を見つけることができます。お茶と症状の関係について疑問や不安がある場合には、遠慮なくご相談いただくことが推奨されます。

症状悪化時は水分補給と保湿を行い、症状が続く場合は早めにご相談ください。


※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状や治療に関するご相談は、医療機関にご相談ください。

監修医師

理事長・院長
今村 英利
Imamura Eli

略歴

2014年10月神戸大学博士課程入学
2019年3月博士課程卒業医師免許取得
2019年4月赤穂市民病院
2021年4月亀田総合病院
2022年1月新宿アイランド内科クリニック院長
2023年2月いずみホームケアクリニック