風邪で口が乾く原因とは?症状の特徴と効果的な対処法について

風邪

風邪をひいた際に「口が乾く」という症状を経験される方は多いのではないでしょうか。

風邪で口が乾く症状は、鼻づまりによる口呼吸や発熱による脱水などが主な原因とされており、風邪の代表的な症状の一つとして知られています。

風邪による口が乾く症状は、単なる不快感だけでなく、口腔内の環境悪化や他の症状の悪化につながる可能性があるため、適切な対処が重要とされています。

ただし、口の乾きの程度や原因には個人差があり、風邪以外の要因による場合もあります。

症状が長期間続く場合や程度が強い場合には、専門的な相談も検討することが重要とされています。

風邪で口が乾く原因とメカニズム

風邪で口が乾く主な原因は、鼻づまりによる口呼吸の増加と発熱による体内水分の喪失が組み合わさることで生じるとされており、複数のメカニズムが関与していると考えられています。

鼻づまりによる口呼吸の影響では、風邪ウイルスによる鼻粘膜の炎症と腫れにより鼻腔が狭くなり、正常な鼻呼吸が困難になることが原因とされています。その結果、無意識に口呼吸が増加し、口腔内の水分が空気中に失われることで口の乾きが生じます。特に就寝中の口呼吸は長時間続くため、朝起きた時に強い口渇を感じることが多いとされています。口呼吸により口腔内の自然な保湿機能が低下し、唾液の蒸発が促進されることも要因の一つです。

発熱による脱水症状では、体温上昇により体内の水分が汗や呼気から失われ、全身の脱水状態が生じることが口の乾きの原因となります。発熱時は通常より多くの水分が必要となりますが、風邪による食欲不振や摂取量の減少により、水分不足が起こりやすくなるとされています。体内の水分量が減少すると、唾液の分泌量も減少し、口腔内の乾燥が進行します。

薬の副作用による口渇として、風邪薬に含まれる抗ヒスタミン薬や鼻づまり改善薬は、副作用として口の乾きを引き起こす可能性があります。これらの薬剤は交感神経に作用し、唾液腺の分泌を抑制することで口渇を生じさせる場合があるとされています。複数の薬を併用している場合には、この効果がより顕著に現れる可能性もあります。

炎症による影響では、風邪ウイルスによる上気道の炎症が唾液腺にも影響を与え、唾液の分泌量や質に変化をもたらす可能性があるとされています。また、のどの痛みにより飲み込みが困難になることで、唾液の自然な循環が妨げられることも口の乾きの要因となります。

風邪で口が乾く原因は複合的であり、個人の症状や体質によってその程度は異なります。

続いて、風邪による口の乾きの具体的な症状と特徴について見ていきましょう。

風邪による口の乾きの症状と特徴

風邪による口の乾きは、持続的な口渇感と口腔内の不快感が特徴的で、風邪の他の症状と密接に関連して現れることが多いとされています。

口渇の程度と現れ方では、軽度の場合は「なんとなく口が渇く」程度の感覚から始まり、重度になると「口の中がカラカラに乾燥する」「舌が口の中に貼り付く感じがする」といった強い症状まで様々です。朝起きた時に最も強く感じられることが多く、これは夜間の口呼吸により長時間口腔内が乾燥状態にあったためとされています。日中も継続的に口の乾きを感じることが多く、水分を摂取してもすぐに再び乾燥感を覚える場合があります。

他の症状との関連では、鼻づまりの程度と口の乾きの強さは密接に関係しており、鼻づまりが強いほど口呼吸が増加し、口の乾きも強くなる傾向があるとされています。発熱の程度とも関連があり、高熱時には脱水による口渇がより顕著になります。のどの痛みと同時に現れることも多く、口の乾燥により のどの痛みが悪化したり、逆にのどの痛みにより水分摂取が減って口の乾きが強くなったりする悪循環が生じる場合もあります。

時間的な変化のパターンとして、風邪の初期段階では軽度の口渇から始まり、症状のピーク時に最も強くなる傾向があるとされています。風邪の回復に伴い徐々に改善していきますが、鼻づまりが長引く場合には口の乾きも持続する可能性があります。薬を服用している場合には、服薬期間中は薬の副作用により口渇が続く場合もあります。

日常生活への影響では、口の乾きにより食事の味が変わって感じられたり、飲み込みが困難になったりする場合があります。会話中に口の中が乾燥して話しづらくなることもあり、社会生活に支障をきたす可能性もあるとされています。睡眠中の口呼吸により睡眠の質が低下し、いびきの原因となる場合もあります。

風邪による口の乾きの症状は個人差が大きく、他の症状との関連性も人によって異なります。

次に、これらの症状に対する効果的な対処法について説明いたします。

風邪で口が乾く時の対処法と改善方法

風邪で口が乾く時の対処法として、適切な水分補給と口腔内の保湿を中心とした総合的なケアが症状の軽減に効果的とされています。

基本的な水分補給のポイントでは、こまめな水分摂取が最も重要とされています。一度に大量の水分を摂取するのではなく、少量ずつ頻繁に飲むことで口腔内の湿潤を保つことができます。常温またはわずかに温かい水が刺激が少なく推奨されますが、温かい飲み物は鼻づまりの軽減にも役立つ可能性があります。スポーツドリンクを薄めたものは、発熱による電解質の喪失を補うのに効果的とされる場合がありますが、糖分の過剰摂取には注意が必要です。

口腔内の保湿方法として、人工唾液や保湿ジェルの使用が症状の軽減に役立つ場合があります。口腔用の保湿スプレーを定期的に使用することで、即座に口腔内の乾燥を和らげることができるとされています。ガムを噛むことで唾液の分泌を促進する方法もありますが、風邪で体調が優れない時には無糖のものを選び、適度に行うことが重要です。うがいを頻繁に行うことで口腔内を清潔に保ちながら保湿効果も得られます。

環境改善の工夫では、室内の湿度を50〜60%程度に保つことが口腔内の乾燥予防に効果的とされています。加湿器の使用や濡れタオルを干すなどの方法で適切な湿度を維持し、口呼吸による水分喪失を最小限に抑えることができます。寝室の湿度管理は特に重要で、就寝中の口の乾燥を軽減するために枕元に加湿器を置くことも有効とされています。空気清浄機の併用により、ほこりや花粉などの刺激物質を除去することで鼻づまりの軽減にも役立つ可能性があります。

生活習慣での注意点として、カフェインやアルコールを含む飲み物は利尿作用により脱水を促進する可能性があるため、風邪の期間中は控えることが推奨されます。口呼吸を減らすために鼻づまりの改善に努めることも重要で、温かい蒸気の吸入や軽い鼻うがいが効果的とされる場合があります。禁煙は口腔内の健康維持に重要であり、喫煙は口の乾燥を悪化させる可能性があるため注意が必要です。

風邪による口の乾きへの対処法は個人の症状や環境により効果が異なるため、自分に適した方法を見つけることが重要です。

続いて、口が乾く症状で考えられる風邪以外の原因について見ていきましょう。

口が乾く症状で考えられる風邪以外の原因

口が乾く症状は風邪以外の様々な疾患や要因によっても引き起こされる可能性があり、症状が長期間続く場合や他の症状を伴う場合には他の原因も考慮することが重要とされています。

他の疾患による口渇として、糖尿病では血糖値の上昇により浸透圧利尿が生じ、脱水状態となることで口渇が現れる場合があります。シェーグレン症候群は自己免疫疾患の一つで、唾液腺や涙腺が破壊されることにより口の乾燥や目の乾燥が生じるとされています。腎疾患、肝疾患、甲状腺機能亢進症なども口渇の原因となる可能性があり、風邪症状がないにも関わらず口の乾きが続く場合には これらの疾患の可能性も考慮する必要があります。

薬剤による副作用では、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、降圧薬、利尿薬、睡眠薬など多くの薬剤が副作用として口渇を引き起こす可能性があります。特に複数の薬を服用している高齢者では、薬剤性の口渇が問題となることが多いとされています。薬の服用開始後に口の乾きが現れた場合には、薬剤性の可能性を考慮し、医師や薬剤師への相談が重要です。抗がん剤や放射線治療も唾液腺にダメージを与え、口渇の原因となる場合があります。

生活習慣による影響として、慢性的な脱水状態、過度のカフェイン摂取、アルコールの常習的摂取、喫煙などが口の乾燥を引き起こす可能性があります。口呼吸の習慣がある方では、風邪がなくても慢性的な口の乾燥に悩まされる場合があるとされています。食事内容も影響を与える可能性があり、塩分の過剰摂取や水分摂取不足は口渇の要因となります。

加齢やストレスとの関連では、加齢により唾液腺の機能が低下し、唾液の分泌量が減少することで口の乾燥が生じやすくなるとされています。更年期の女性では、ホルモンバランスの変化により口渇を感じる場合もあります。慢性的なストレスは自律神経系に影響を与え、唾液の分泌を抑制することで口の乾燥を引き起こす可能性があります。睡眠不足や不規則な生活リズムも口渇の要因となる場合があるとされています。

口が乾く症状の原因は多岐にわたるため、風邪以外の可能性も考慮し、症状が続く場合には専門的な診断が重要です。

最後に、医療機関を受診すべきタイミングについて説明いたします。

風邪による口の乾きで医療機関を受診すべき場合

風邪による口の乾きで医療機関への相談を検討すべきタイミングとして、症状の重症度、持続期間、他の症状の有無を総合的に判断し、適切な時期に受診することが重要とされています。

注意が必要な症状として、口の乾燥が極度に強く、水分を摂取してもすぐに再び強い渇きを感じる場合があります。食事や会話が困難になるほど口の乾燥が強い場合、口腔内にひび割れや潰瘍が生じた場合なども早期の相談が推奨されます。風邪の他の症状が改善したにも関わらず口の乾きだけが2週間以上続く場合には、他の原因の可能性も考慮した詳しい検査が必要とされる場合があります。

脱水症状のサインでは、口の乾燥と共に、めまい、立ちくらみ、頭痛、尿量の著明な減少、皮膚の弾力性の低下などが現れた場合には脱水が進行している可能性があります。特に高熱が続いている場合、嘔吐や下痢を伴う場合には、急速に脱水が進行するリスクがあるため早急な受診が必要とされています。高齢者や小児では脱水症状が重篤化しやすいため、軽度の症状でも注意深く観察することが重要です。

基礎疾患がある方の注意点として、糖尿病の既往がある方では、風邪をきっかけに血糖値が不安定になり、口渇が強くなる場合があります。腎疾患、肝疾患、心疾患などの基礎疾患がある方では、風邪による脱水が既存の疾患を悪化させる可能性があるため、早めの相談が重要とされています。免疫抑制薬を服用している方では、風邪が重篤化しやすく、口の乾燥も含めた症状の管理について専門的な指導が必要な場合があります。

適切な相談のタイミングについて、市販薬による口渇の副作用が疑われる場合には薬剤師への相談が有効です。症状の改善が見られない場合や悪化傾向にある場合には、早めに医師の診察を受けることが推奨されます。口の乾燥により生活の質が著しく低下している場合、不安や心配が強い場合なども、遠慮なく相談することが重要とされています。また、風邪以外の原因による口渇の可能性がある場合には、内科的な精査が必要な場合もあります。

風邪による口の乾きについての判断や対処法には個人差があり、適切な対応についてはご相談ください。早期の適切な診断と治療により、症状の改善や原因の特定が期待できる場合があります。


※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状や治療に関するご相談は、医療機関にご相談ください。

監修医師

理事長・院長
今村 英利
Imamura Eli

略歴

2014年10月神戸大学博士課程入学
2019年3月博士課程卒業医師免許取得
2019年4月赤穂市民病院
2021年4月亀田総合病院
2022年1月新宿アイランド内科クリニック院長
2023年2月いずみホームケアクリニック