風邪でのどが痛い時に「何を飲んだら良いのか」「痛みを和らげる飲み物はあるのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。
のどの痛みがある時は水分補給が重要である一方で、刺激的な飲み物は症状を悪化させる可能性があります。
風邪でのどの痛みがある時の飲み物選びでは、のどへの刺激を避けながら適切な水分補給を行うことが重要とされています。
温度や成分に配慮した適切な飲み物の選択により、症状の緩和と脱水の予防を同時に行うことが可能です。
ただし、飲み物による症状改善の効果には個人差があり、すべての方に同様の効果が期待できるわけではありません。症状の程度や個人の体質に応じた適切な飲み物選択が重要とされています。
風邪でのどが痛い時の飲み物選びの基本
風邪でのどが痛い時の飲み物選びでは、のどの刺激を最小限に抑えながら効果的な水分補給を行うことが基本とされています。
温度による配慮が最も重要な要素の一つです。極端に熱い飲み物は、炎症を起こしているのどの粘膜をさらに刺激し、痛みを増強させる可能性があります。一方で、冷たすぎる飲み物も筋肉の収縮を引き起こし、痛みを悪化させる場合があります。人肌程度(35~40度程度)の温度が最も刺激が少なく、のどに優しいとされています。
水分補給の重要性では、発熱や呼吸による水分損失、食欲不振による摂取量減少により、風邪の時は脱水になりやすい状態にあります。適切な水分補給はのどの粘膜を潤し、痰や分泌物の排出を促進し、症状の改善に寄与します。また、十分な水分摂取は全身の循環を改善し、免疫機能の維持にも重要な役割を果たします。
成分による選択では、のどの炎症を鎮める効果があるとされる成分を含む飲み物や、粘膜を保護する作用のある飲み物が適しています。一方で、カフェインやアルコールなど、脱水を促進する可能性がある成分を含む飲み物は注意が必要です。また、人工甘味料や着色料などの添加物も、個人によってはのどの刺激となる場合があります。
飲みやすさの考慮として、のどが痛い時は飲み込むこと自体が困難になる場合があります。粘度が適切で、滑らかに飲み込める飲み物を選択することが重要です。また、一度に大量に飲むよりも、少量ずつこまめに摂取する方が、のどへの負担を軽減できます。
個人差への配慮も重要な要素で、同じ飲み物でも人によって感じ方が大きく異なります。普段から好んで飲んでいるもの、アレルギーのないもの、消化に良いものを基本として選択し、症状に応じて調整することが推奨されます。また、症状の変化に応じて柔軟に飲み物を変更することも大切です。
風邪でのどが痛い時の飲み物選びの基本を理解することで、症状の緩和と適切な水分補給の両立が可能になります。
続いて、のどの痛みに効果的とされる具体的な飲み物について見ていきましょう。
のどの痛みに効果的とされる飲み物
のどの痛みに効果的とされる飲み物は、抗炎症作用、保湿効果、栄養補給効果などの観点から選ばれますが、その効果には個人差があります。
温かい白湯は最もシンプルで効果的な飲み物の一つとされています。適度な温度の白湯は、のどの粘膜を温めて血行を促進し、炎症の緩和に役立つ可能性があります。また、純粋な水分補給により脱水を防ぎ、痰や分泌物の排出を促進します。刺激的な成分が含まれていないため、最も安全で万人に適した選択肢とされています。
はちみつ入りの温かい飲み物は、古くからのどの痛みに良いとされる代表的な飲み物です。はちみつには抗菌作用と抗炎症作用があるとされる研究報告があり、のどの粘膜を保護し、痛みを和らげる可能性があります。温かいお湯や温かい牛乳にはちみつを溶かした飲み物が一般的です。ただし、1歳未満の乳児には与えてはいけないという重要な注意点があります。
生姜湯は体を温める効果があるとされ、血行促進により炎症の改善に役立つ可能性があります。すりおろした生姜に温かいお湯を注ぎ、はちみつや砂糖で甘味を加えることで飲みやすくなります。ただし、胃腸が弱い方には刺激が強すぎる場合があるため、薄めから始めて様子を見ることが重要です。
カモミールティーなどのハーブティーは、抗炎症作用や鎮静作用があるとされています。カフェインを含まないため、夜間の摂取にも適しています。ただし、キク科植物にアレルギーがある方は注意が必要です。その他、ペパーミントティー、セージティーなども、のどの痛みに効果があるとされることがあります。
温かい牛乳は、タンパク質やカルシウムなどの栄養素を含み、栄養補給と水分補給を同時に行うことができます。牛乳に含まれる乳脂肪分が、のどの粘膜を保護する効果も期待できます。はちみつを加えることで、さらなる症状緩和効果が期待できる場合があります。ただし、乳糖不耐症の方や牛乳アレルギーの方は摂取を避ける必要があります。
温かいスープ類(チキンスープ、野菜スープなど)は、水分と栄養を同時に摂取できる優秀な選択肢です。特にチキンスープには、炎症を軽減する効果があるとする研究報告もあります。塩分や具材を調整することで、個人の症状や好みに合わせることができます。
緑茶は抗酸化作用があるとされるカテキンを含み、抗菌・抗炎症効果が期待できる場合があります。ただし、カフェインを含むため、夜間の摂取や大量摂取は注意が必要です。また、温度を適切に調整することが重要です。
経口補水液は、水分と電解質を効率的に補給できる飲み物で、発熱により脱水傾向にある場合に特に有効です。市販品を利用するか、家庭で作ることも可能です。ただし、腎疾患や心疾患がある方は、電解質の摂取について医師に相談することが重要です。
これらの飲み物の効果には個人差があり、すべての方に同様の効果があるわけではありません。
次に、これらの飲み物を自宅で手作りする方法について説明いたします。
手作りできるのどに優しいドリンクレシピ
手作りできるのどに優しいドリンクは、材料や濃度を個人の症状や好みに合わせて調整できる利点があります。
基本的なはちみつレモン湯の作り方では、温かいお湯200mlに、はちみつ大さじ1杯とレモン汁小さじ1杯を加えて混ぜます。レモンの酸味が強すぎる場合は、レモン汁の量を調整するか、レモンの代わりにゆずやかぼすを使用することもできます。はちみつの量も症状に応じて調整可能で、のどの痛みが強い場合は多めに、軽い場合は少なめにします。
生姜はちみつ湯のレシピでは、生姜をすりおろしたもの小さじ1杯(または生姜の薄切り3~4枚)に熱湯を注ぎ、3~5分蒸らした後に、はちみつ大さじ1杯を加えます。生姜の量は個人の耐性に応じて調整し、初めて飲む場合は少なめから始めることが推奨されます。チューブ生姜を使用する場合は、添加物の影響を考慮し、できるだけ生の生姜を使用することが理想的です。
カモミールはちみつティーの作り方では、乾燥カモミール小さじ2杯(またはティーバッグ1個)に熱湯200mlを注ぎ、5~10分蒸らします。その後茶葉を取り除き、人肌程度に冷ましてからはちみつ大さじ1杯を加えます。カモミールの苦味が気になる場合は、蒸らし時間を短くするか、はちみつの量を増やして調整します。
手作り経口補水液のレシピでは、水1リットルに塩3g(小さじ1/2杯)と砂糖40g(大さじ4杯強)を加えて溶かします。レモン汁を少量加えることで、飲みやすさが向上し、ビタミンCの補給も可能になります。正確な計量が重要で、塩分や糖分の濃度が不適切だと効果が減少したり、かえって脱水を促進したりする可能性があります。
温かいミルクティーのレシピでは、牛乳200mlを鍋で温め(沸騰させない程度)、紅茶のティーバッグを入れて3分程度蒸らします。ティーバッグを取り除き、はちみつまたは砂糖で甘味を調整します。牛乳を豆乳やオーツミルクに変更することで、乳製品アレルギーの方でも楽しむことができます。
大根はちみつドリンクの作り方では、大根をすりおろして汁を絞り、その汁大さじ2杯にはちみつ大さじ1杯を混ぜ、温かいお湯で薄めて飲みます。大根の辛味が強い場合は、お湯の量を増やして薄めるか、はちみつの量を増やして調整します。このドリンクは、のどの炎症を鎮める効果があるとされる伝統的な民間療法です。
温かいリンゴジュースの作り方では、100%のリンゴジュースを鍋で温め(沸騰させない程度)、人肌程度にします。シナモンパウダーを少量加えることで、風味が向上し、体を温める効果も期待できます。市販のジュースには糖分が多く含まれている場合があるため、薄めて飲むことも考慮します。
手作りドリンクの保存について、これらの手作りドリンクは作り置きには適しておらず、作った都度新鮮なものを飲むことが推奨されます。特にはちみつや生姜を使用したものは、時間の経過とともに風味が変化し、効果も減少する可能性があります。
手作りドリンクは個人の症状や好みに合わせて調整できる利点がありますが、一方で避けるべき飲み物についても理解しておくことが重要です。
続いて、のどが痛い時に避けるべき飲み物について説明いたします。
風邪でのどが痛い時に避けるべき飲み物
風邪でのどが痛い時に避けるべき飲み物は、のどの炎症を悪化させたり、脱水を促進したりする可能性がある飲み物とされています。
カフェインを多く含む飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなど)は、利尿作用により脱水を促進する可能性があります。また、カフェインには血管収縮作用があり、のどの血行を悪化させる場合があります。ただし、適量であれば問題ない場合も多く、完全に避ける必要はありませんが、摂取量には注意が必要です。
アルコール類は、のどの粘膜を乾燥させ、炎症を悪化させる可能性があるため、症状がある間は控えることが強く推奨されます。アルコールには利尿作用もあり、脱水を促進します。また、免疫機能を低下させる作用もあるため、風邪の回復を遅らせる可能性があります。
炭酸飲料は、炭酸ガスによる刺激がのどの痛みを増強させる可能性があります。特に冷たい炭酸飲料は、温度と炭酸の両方の刺激により、症状を悪化させるリスクがあります。また、多くの炭酸飲料に含まれる糖分や人工甘味料、酸味料も、のどの炎症に悪影響を与える場合があります。
酸味の強い飲み物(100%の柑橘系ジュース、酢ドリンク、梅ドリンクなど)は、のどの粘膜を刺激し、痛みを増強させる可能性があります。適度に薄めれば問題ない場合もありますが、原液のまま飲むことは避けることが推奨されます。
極端に熱い飲み物は、炎症を起こしているのどの粘膜に火傷を負わせるリスクがあり、症状を悪化させる可能性があります。熱いコーヒー、熱いお茶、熱いスープなども、十分に冷ましてから摂取することが重要です。
逆に、極端に冷たい飲み物(氷入りの飲み物、冷たいジュース、アイスドリンクなど)は、のどの筋肉を収縮させ、痛みを増強させる場合があります。ただし、個人によっては冷たいものでのどの痛みが一時的に和らぐ場合もあり、個人差があります。
人工甘味料を多く含む飲み物は、個人によってはのどの刺激となる場合があります。特にアスパルテーム、サッカリン、アセスルファムKなどの人工甘味料に敏感な方は注意が必要です。また、保存料や着色料なども、症状を悪化させる可能性があります。
乳製品について、一部の方では牛乳や乳製品を含む飲み物が痰の生成を促進し、のどの不快感を増強させる場合があります。ただし、これは個人差があり、すべての方に当てはまるわけではありません。症状の変化を観察しながら判断することが重要です。
高糖分の飲み物(砂糖の多いジュース、スポーツドリンク、甘いコーヒー飲料など)は、口の中の細菌の増殖を促進し、口腔環境を悪化させる可能性があります。また、高血糖は免疫機能に悪影響を与える可能性もあります。
薬用効果をうたった市販の飲み物についても、成分によってはのどの刺激となる場合があります。メンソールやミント系の成分は、人によっては刺激が強すぎる場合があります。
避けるべき飲み物の判断には個人差があり、同じ飲み物でも人によって影響が異なります。症状の変化を注意深く観察し、自分に適さない飲み物を見極めることが重要です。
次に、飲み方の工夫とタイミングについて説明いたします。
飲み方の工夫とタイミング
飲み方の工夫とタイミングは、同じ飲み物でものどへの刺激を軽減し、効果を最大化するために重要とされています。
適切な温度管理では、飲み物の温度を人肌程度(35~40度程度)に調整することが最も重要です。温度計を使用して正確に測定することが理想的ですが、実際には手首の内側で温度を確認する方法も実用的です。熱い飲み物は十分に冷まし、冷たい飲み物は少し常温に近づけてから飲むことが推奨されます。
飲む量とペースの調整では、一度に大量を飲むよりも、少量ずつこまめに摂取することが効果的です。一口あたり大さじ1~2杯程度の量を、ゆっくりと飲み込むことで、のどへの負担を軽減できます。急いで飲むと、のどの刺激が増強される可能性があるため、時間をかけてゆっくりと飲むことが重要です。
飲むタイミングの工夫として、食前30分から1時間前に温かい飲み物を摂取することで、のどの状態を改善し、食事時の痛みを軽減する効果が期待できます。また、就寝前の温かい飲み物は、夜間ののどの乾燥を防ぎ、朝の症状軽減に役立つ可能性があります。
一日の摂取パターンでは、症状が軽い時間帯(多くの場合は午後から夕方)に、栄養価の高い飲み物や多めの水分を摂取し、症状が強い時間帯(多くの場合は朝と夜)には、よりのどに優しい飲み物を選択するという調整が効果的です。
飲み込み方の工夫では、飲み物を口に含んだ後、少し時間をおいてからゆっくりと飲み込むことで、のどへの刺激を軽減できます。また、飲み込む前に軽くうがいをするような動作で、飲み物をのどに馴染ませることも有効とされています。
複数の飲み物の組み合わせでは、効果の異なる飲み物を時間をずらして摂取することで、相乗効果を期待できる場合があります。例えば、朝にはちみつ湯で抗炎症効果を狙い、昼間は白湯で水分補給、夜は温かいミルクで栄養補給と鎮静効果を狙うなどの工夫が可能です。
症状の変化に応じた調整も重要で、痛みが強い時はより温度を低めに、刺激の少ない飲み物を選び、痛みが軽い時はやや温かめの、効果的な成分を含む飲み物を選択するという柔軟な対応が推奨されます。
環境の配慮として、乾燥した環境では水分の必要量が増加するため、加湿器を使用しながら水分摂取を行うことが効果的です。また、リラックスできる環境で、ストレスを軽減しながら飲み物を摂取することで、症状の改善効果を高めることができます。
飲み物摂取の記録をつけることで、どの飲み物がいつの時間帯に効果的だったかを把握し、個人に最適な飲み物パターンを見つけることができます。症状の改善具合と飲み物の関係を記録することで、より効果的な対処法を確立できます。
飲み方の工夫とタイミングの調整により、同じ飲み物でもより高い効果を期待できます。
最後に、市販の薬用ドリンクとの使い分けについて説明いたします。
市販の薬用ドリンクとの使い分け
市販の薬用ドリンクとの使い分けは、症状の程度や個人の状況に応じて適切に選択することが重要とされています。
市販の薬用ドリンクの特徴として、のど飴やのどスプレーと同様に、医薬品または医薬部外品として販売されているものがあります。これらには、炎症を抑える成分、痛みを和らげる成分、殺菌作用のある成分などが配合されている場合があります。手作りドリンクと比較して、有効成分の濃度が一定で、品質が安定しているという利点があります。
薬用ドリンクの適応となる状況では、症状が中等度以上で、手作りドリンクや白湯などの自然な方法では十分な効果が得られない場合に検討されます。また、外出時や職場など、手作りドリンクの準備が困難な状況でも有用です。ただし、薬用成分を含むため、使用方法や頻度について注意が必要です。
成分による使い分けでは、イソプロピルメチルフェノール、ベンゼトニウム塩化物などの殺菌成分を含むものは、細菌感染が疑われる場合に適しています。アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウムなどの抗炎症成分を含むものは、炎症による痛みが強い場合に効果的とされています。
手作りドリンクとの併用について、市販の薬用ドリンクを使用する場合でも、基本的な水分補給は手作りドリンクや白湯で行い、症状が特に辛い時にのみ薬用ドリンクを使用するという使い分けが推奨されます。薬用成分の過剰摂取を避けるため、使用頻度や量については製品の使用方法を守ることが重要です。
使用上の注意点として、市販の薬用ドリンクには副作用や相互作用の可能性があります。他の薬剤を服用している場合、アレルギーがある場合、基礎疾患がある場合は、薬剤師や医師に相談してから使用することが安全です。また、使用期間についても、長期間の連用は避け、症状が改善しない場合は医療機関での相談を検討することが重要です。
効果の評価と調整では、薬用ドリンクを使用した場合の症状の変化を客観的に評価し、効果が不十分な場合や副作用が現れた場合は使用を中止することが必要です。複数の薬用ドリンクを同時に使用することは、成分の重複や相互作用のリスクがあるため避けることが推奨されます。
コストパフォーマンスの考慮も実用的な観点です。市販の薬用ドリンクは手作りドリンクと比較してコストが高いため、症状の軽い時期は手作りドリンクを中心とし、症状の重い時期のみ薬用ドリンクを使用するという経済的な使い分けも有効です。
医療機関での治療との関係では、薬用ドリンクは対症療法の一つであり、根本的な治療ではありません。症状が長期化する場合、悪化する場合、薬用ドリンクでも改善しない場合は、医療機関での診察を受け、適切な治療を検討することが重要です。
市販の薬用ドリンクと手作りドリンクの使い分けは、症状の程度、生活環境、経済的な考慮、安全性など、様々な要因を総合的に判断して決定することが適切です。のどの痛みや飲み物の選択について心配なことがある場合は、ご相談ください。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。のどの痛みや飲み物に関してご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
監修医師

略歴
2014年10月 | 神戸大学博士課程入学 |
2019年3月 | 博士課程卒業医師免許取得 |
2019年4月 | 赤穂市民病院 |
2021年4月 | 亀田総合病院 |
2022年1月 | 新宿アイランド内科クリニック院長 |
2023年2月 | いずみホームケアクリニック |