風邪でのどの痛みがある時の食べ物は?栄養摂取と避けるべき食品について

風邪

風邪でのどが痛い時に「何を食べたら良いのか」「痛くて食べられない」と困る方は多いのではないでしょうか。

のどの痛みがあると食事が辛くなり、必要な栄養摂取が困難になることがあります。

風邪でのどの痛みがある時の食べ物選びでは、痛みを悪化させずに栄養を摂取できるものを選ぶことが重要とされています。

適切な食材の選択と調理方法の工夫により、のどへの刺激を最小限に抑えながら回復に必要な栄養を確保することが可能です。

ただし、食べ物による症状緩和の効果には個人差があり、痛みを和らげる食材とされているものでも、すべての方に同様の効果があるわけではありません。

症状の程度に応じた適切な食事選択が重要とされています。

風邪でのどが痛い時の食べ物選びのポイント

風邪でのどが痛い時の食べ物選びでは、のどへの刺激を避けながら栄養価の高い食品を選択することが基本とされています。

のどに優しい食べ物の基本条件として、まず食べやすさが重要です。柔らかく、滑らかな食感で、飲み込みやすいものが適しています。硬い食べ物や粗い食感のものは、のどを通る際に痛みを増強させる可能性があるため避けることが推奨されます。また、極端に熱いものや冷たいものも、のどの粘膜を刺激する可能性があるため、人肌程度の温度が理想的とされています。

栄養面での考慮として、のどの痛みにより食事量が減少しがちな時期でも、回復に必要な栄養素を効率的に摂取できる食品を選ぶことが重要です。タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランス良く含む食品や、少量でもカロリーを確保できる食品が適しています。水分含有量が多い食品は、脱水予防と栄養補給を同時に行える利点があります。

調理方法による工夫では、同じ食材でも調理方法によってのどへの刺激が大きく変わります。煮る、蒸す、つぶす、裏ごしするなどの方法により、食材を柔らかくし、のどを通りやすくすることができます。また、とろみをつけることで飲み込みやすくし、のどへの刺激を軽減することも効果的とされています。

個人差への配慮も重要な要素です。のどの痛みの程度や個人の好みによって、適切な食べ物は大きく異なります。普段好んで食べているもの、消化に良いもの、アレルギーのないものを基本として、症状に応じて選択することが推奨されます。また、少量ずつ様子を見ながら摂取し、痛みが増強する場合は摂取を控えることも重要です。

風邪でのどが痛い時の食べ物選びには様々な考慮点がありますが、基本的には「のどに優しく、栄養価が高い」ものを選ぶことが重要です。

続いて、具体的にのどの痛みを和らげる効果が期待できる食べ物について見ていきましょう。

のどの痛みを和らげる効果が期待できる食べ物

のどの痛みを和らげる効果が期待できるとされる食べ物は、抗炎症作用や保湿効果、栄養補給効果などの観点から選ばれますが、その効果には個人差があります。

はちみつは古くからのどの痛みに良いとされる代表的な食材です。はちみつには抗菌作用や抗炎症作用があるとされる研究報告があり、のどの粘膜を保護し、痛みを和らげる可能性があります。ただし、1歳未満の乳児には与えてはいけないという重要な注意点があります。また、糖分が高いため、糖尿病の方は摂取量に注意が必要です。

生姜は体を温める効果があるとされ、血行促進により炎症の改善に役立つ可能性があります。すりおろした生姜を温かい飲み物に加える、生姜を煮込んだスープなどが一般的な摂取方法です。ただし、胃腸が弱い方には刺激が強すぎる場合があるため、適量での摂取が重要とされています。

大根おろしは、のどの炎症を鎮める効果があるとされる伝統的な食材です。大根に含まれる酵素や辛味成分が、のどの痛みの軽減に役立つ可能性があるとされています。ただし、辛味が強い場合は逆にのどを刺激する可能性もあるため、様子を見ながら摂取することが推奨されます。

梨は水分含有量が多く、のどの乾燥を和らげる効果が期待できます。また、梨に含まれる糖分は体に吸収されやすく、エネルギー補給にも役立ちます。すりおろしたり、加熱して柔らかくしたりすることで、より食べやすくすることができます。

バナナは柔らかく栄養価が高い食材として、のどが痛い時の栄養補給に適しています。カリウムやビタミンB群を豊富に含み、エネルギー補給にも効果的です。つぶしてペースト状にすることで、さらに食べやすくすることができます。

卵は良質なタンパク質を含み、体力回復に重要な栄養素です。卵豆腐、茶わん蒸し、温泉卵など、柔らかく調理することで、のどが痛い時でも摂取しやすくなります。ただし、卵アレルギーがある方は摂取を避ける必要があります。

ゼリーやプリンなどの滑らかな食品は、のどを通りやすく、水分と栄養を同時に摂取できる利点があります。市販品を利用するか、手作りで栄養価を調整することも可能です。

これらの食べ物の効果には科学的根拠があるものもあれば、経験的に良いとされているものもあり、効果の程度には個人差があります。

次に、これらの食材をより効果的に摂取するための調理方法について説明いたします。

のどに優しい食べ物の調理方法と工夫

のどに優しい食べ物の調理方法では、食材の栄養価を保ちながら、のどへの刺激を最小限に抑える工夫が重要とされています。

基本的な調理方法として、「柔らかくする」ことが最も重要なポイントです。煮る、蒸す、茹でるなどの水分を使った調理法により、食材を十分に柔らかくすることができます。圧力鍋を使用すると、短時間で食材を非常に柔らかくすることが可能です。根菜類や肉類なども、十分に煮込むことでのどを通りやすい状態にすることができます。

つぶす・裏ごしする工夫では、フードプロセッサーやミキサーを使用して食材をペースト状にすることで、飲み込みやすさを大幅に向上させることができます。じゃがいもやかぼちゃなどの野菜は、茹でてからつぶすことでポタージュ状にすることができます。肉類も、十分に煮込んでからほぐしたり、ミンチ状にしたりすることで食べやすくなります。

とろみをつける技法も効果的です。片栗粉、コーンスターチ、葛粉などを使用してとろみをつけることで、食べ物がのどを滑らかに通りやすくなります。スープやお粥にとろみをつける、あんかけ状にするなどの方法があります。また、卵でとじることも、滑らかな食感を作り出す効果的な方法です。

温度管理の重要性では、熱すぎるものは火傷や炎症の悪化を招く可能性があり、冷たすぎるものは筋肉の収縮により痛みを増強させる可能性があります。人肌程度(35~40度程度)の温度が最も刺激が少ないとされています。冷蔵庫から出した食べ物は少し常温に戻してから摂取し、温かい食べ物は十分に冷ましてから摂取することが推奨されます。

水分含有量を増やす工夫として、食材にだしやスープを加えることで、水分摂取と栄養摂取を同時に行うことができます。お粥は米に対して多めの水分で炊くことで、より滑らかで飲み込みやすくすることができます。野菜スープに具材を細かく刻んで加えることで、栄養価の高い流動食を作ることも可能です。

味付けの調整では、刺激の強い調味料(唐辛子、わさび、からしなど)は避け、やさしい味付けを心がけることが重要です。だしを利用することで、塩分を控えめにしても美味しく仕上げることができます。甘味が欲しい場合は、はちみつや砂糖を少量使用することで、のどの痛みを和らげる効果も期待できます。

調理時間の工夫では、食材を小さく切ることで加熱時間を短縮し、栄養素の損失を最小限に抑えることができます。また、蒸し調理を活用することで、水溶性ビタミンの流出を防ぎながら柔らかく仕上げることができます。

のどに優しい調理方法を活用することで、同じ食材でも大幅に食べやすさを向上させることができます。一方で、避けるべき食べ物についても理解しておくことが重要です。

続いて、のどが痛い時に避けるべき食べ物について説明いたします。

風邪でのどが痛い時に避けるべき食べ物

風邪でのどが痛い時に避けるべき食べ物は、のどの炎症を悪化させたり、痛みを増強したりする可能性がある食品とされています。

刺激の強い食べ物として、辛いもの(唐辛子、わさび、からし、胡椒など)は、のどの粘膜を刺激し、炎症を悪化させる可能性があります。香辛料を多用した料理、激辛料理、刺身のわさびなどは控えることが推奨されます。また、酸味の強いもの(レモン、酢、梅干し、酸っぱい果物など)も、のどの痛みを増強させる場合があるため注意が必要です。

硬い食べ物や粗い食感のものは、のどを通る際に物理的な刺激を与える可能性があります。クラッカー、煎餅、トースト、ナッツ類、硬い肉類などは、のどの痛みがある時は避けることが適切とされています。また、繊維質の多い野菜(セロリ、ごぼうなど)も、十分に柔らかく調理しない限り刺激となる可能性があります。

温度による刺激では、熱すぎるもの(熱いお茶、熱いスープ、熱い料理など)は火傷のリスクがあり、炎症を悪化させる可能性があります。一方で、冷たすぎるもの(氷、アイスクリーム、冷たい飲み物など)も、のどの筋肉を収縮させ、痛みを増強させる場合があります。ただし、冷たいもので一時的に痛みが和らぐ場合もあり、個人差があります。

アルコール類は、のどの粘膜を乾燥させ、炎症を悪化させる可能性があるため、症状がある間は控えることが推奨されます。また、カフェインを多く含む飲料(コーヒー、紅茶、エナジードリンクなど)も、利尿作用により脱水を促進し、のどの乾燥を悪化させる可能性があります。

油っぽい食べ物や脂肪分の多い食品は、消化に負担をかけ、体力を消耗させる可能性があります。また、のどに油分が付着することで、不快感を与える場合もあります。揚げ物、脂身の多い肉類、バターを多用した料理などは、症状がある間は控えめにすることが推奨されます。

炭酸飲料は、炭酸ガスによる刺激がのどの痛みを増強させる可能性があります。また、多くの炭酸飲料に含まれる糖分や人工甘味料も、のどの炎症に影響を与える場合があります。

塩分の多い食べ物(漬物、塩辛い汁物、加工食品など)は、のどの粘膜を刺激し、乾燥を促進する可能性があります。ただし、適度な塩分は電解質バランスの維持に必要であるため、完全に避ける必要はありません。

アレルギーの可能性がある食品や、普段から消化に良くない食品も、体調が悪い時は避けることが安全です。免疫力が低下している状態では、普段は問題ない食品でもアレルギー反応が起こりやすくなる場合があります。

避けるべき食べ物の判断には個人差があり、同じ食品でも人によって影響が異なる場合があります。

次に、のどの痛みの程度に応じた食べ物の選び方について説明いたします。

のどの痛みの程度別食べ物の選び方

のどの痛みの程度によって適切な食べ物の選択は異なり、症状に応じた段階的なアプローチが重要とされています。

軽度ののどの痛みの場合では、多くの食べ物を摂取することが可能ですが、刺激を避けることが基本となります。通常の食事をベースに、少し柔らかめに調理したもの、温度を調整したものを選択することが推奨されます。例えば、普通のご飯をお粥にする、野菜を少し長めに煮る、肉類を柔らかく調理するなどの工夫で対応できます。この段階では栄養バランスを重視し、回復に必要な栄養素をしっかりと摂取することが重要です。

中等度ののどの痛みの場合は、食べ物の選択により注意が必要となります。固形物の摂取が困難になってくるため、半固形食や流動食を中心とした食事構成が適切とされています。お粥、うどん、スープ類、プリンやゼリーなどの滑らかな食品が中心となります。栄養密度の高い食品を選択し、少量でも効率的に栄養を摂取できるよう工夫することが重要です。

重度ののどの痛みの場合では、固形物の摂取が非常に困難となり、主に流動食での栄養摂取となります。ポタージュスープ、栄養ドリンク、スムージー、プロテインドリンクなどが適しています。この段階では、脱水の予防も重要な課題となるため、水分と電解質の補給を同時に行える飲み物を選択することが推奨されます。

痛みで飲み込みが困難な場合は、医学的な評価が必要となる可能性があります。このような状態では、栄養補助食品や経口補水液の使用を検討し、必要に応じて医療機関での相談を受けることが重要です。点滴による栄養補給が必要となる場合もあります。

症状の変化に応じた調整も重要なポイントです。のどの痛みは一日の中でも変動することが多く、朝は軽いが夕方に悪化する、食後に痛みが強くなるなどのパターンがあります。症状が軽い時間帯に栄養価の高い食事を摂取し、痛みが強い時は無理をせず流動食で対応するという柔軟な対応が推奨されます。

食事回数と量の調整では、一度に多量を摂取することが困難な場合は、少量ずつ回数を増やして摂取することが効果的です。1日3食にこだわらず、5~6回に分けて摂取することで、総摂取量を確保し、栄養不足を防ぐことができます。

個人の回復パターンの観察も重要で、どの食べ物が痛みを和らげるか、どの食べ物が刺激となるかは個人差があります。食事日記をつけて、症状と食べ物の関係を観察し、自分に適した食事パターンを見つけることが長期的な改善につながります。

のどの痛みの程度に応じた食事選択は、症状の改善と栄養状態の維持の両方を考慮した総合的な判断が必要です。

最後に、食べ物での対処で改善しない場合の対応について説明いたします。

食べ物でのどの痛みが改善しない場合の対応

食べ物による対処でのどの痛みが改善しない場合は、他の原因や合併症の可能性を考慮し、適切な医学的評価を受けることが重要とされています。

症状が長期化する場合の考慮点として、風邪によるのどの痛みは通常1週間程度で改善することが多いとされています。適切な食事療法を行っても2週間以上痛みが続く場合、痛みが徐々に悪化している場合、一度改善した痛みが再び悪化した場合などは、風邪以外の原因や合併症の可能性があります。

他の症状との関連では、高熱が持続する場合、膿性の痰や鼻水が見られる場合、首のリンパ節の腫脹が著明な場合、呼吸困難や嚥下困難を伴う場合などは、細菌感染や他の疾患の可能性があるため、速やかな医学的評価が必要です。

栄養状態への影響も重要な評価項目です。のどの痛みにより十分な食事摂取ができない状態が数日以上続く場合、体重減少が見られる場合、脱水症状(口の乾燥、尿量減少、めまいなど)が現れた場合は、栄養不良や脱水による合併症のリスクがあるため注意が必要です。

特別な注意が必要な場合として、基礎疾患(糖尿病、免疫不全、心疾患など)がある方、高齢者、乳幼児、妊娠中の方は、軽微な症状でも重篤化するリスクがあるため、早期の医学的相談が推奨されます。また、過去にのどの疾患の既往がある方も、慎重な経過観察が必要です。

受診のタイミングの判断では、のどの痛みで水分摂取が困難な場合、声のかすれが急激に現れた場合、息苦しさを感じる場合、口が開けにくくなった場合などは、緊急性が高い症状として速やかな受診が必要です。

医療機関での評価内容として、のどの診察による炎症の程度や膿の有無の確認、細菌感染の検査、血液検査による炎症反応の評価、必要に応じて画像検査などが行われる場合があります。これらの検査により、適切な治療方針が決定されます。

治療選択肢の拡大では、医学的評価により細菌感染が確認された場合は抗生物質による治療、強い炎症がある場合は抗炎症薬の使用、脱水がある場合は点滴による水分・電解質補給などが検討されます。また、栄養士による食事指導や、言語聴覚士による嚥下機能の評価が必要となる場合もあります。

セルフケアの限界の理解も重要で、食事療法は症状緩和の一助となりますが、根本的な治療ではありません。適切な医学的治療と組み合わせることで、より効果的な症状改善が期待できます。

食べ物による対処は風邪ののどの痛みに対する有効な方法の一つですが、その限界を理解し、必要に応じて医学的サポートを求めることが重要です。症状や食事について心配なことがある場合は、ご相談ください。


※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。のどの痛みや食事に関してご不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

監修医師

理事長・院長
今村 英利
Imamura Eli

略歴

2014年10月神戸大学博士課程入学
2019年3月博士課程卒業医師免許取得
2019年4月赤穂市民病院
2021年4月亀田総合病院
2022年1月新宿アイランド内科クリニック院長
2023年2月いずみホームケアクリニック